【平屋31.5坪・3LDK】L字で囲むタイルデッキの庭と2way玄関の間取り|74坪・南道路で庭の位置から決めた住まい

敷地74坪・南道路に建つ平屋31.5坪・3LDKの配置図兼平面図。北側の棟にLDK18.5帖・WIC5帖・ランドリールーム・浴室・パントリー2.5帖、東側の棟に主寝室6帖と子ども部屋4.5帖2室を配置したL字型で、L字の内側にタイルデッキ、その南に植栽帯と駐車スペース3台、西側に玄関とアプローチがある

平屋を検討していると、「平屋は80坪以上ないと難しい」「70坪台だと庭までは無理」といった話を耳にすることがあります。確かに、建物を横に広げる平屋は、駐車スペースを確保した残りに庭が細長く余るだけ、ということが起こりやすい形式です。

今回ご紹介するのは、南道路に面した敷地74坪に計画した、延床31.5坪(104.34㎡)・3LDKの平屋です。建物をL字型にして、L字の内側にタイルデッキの庭を囲い込み、その南側に駐車スペースを3台並べました。「余った場所を庭にする」のではなく、「庭の位置と形を先に決め、そこに建物を当てはめる」という順番で考えたプランです。

この記事では、L字の配置がどのように庭と道路・駐車場の関係を整えているのか、そして室内の玄関、LDK、家事動線、個室がどうつながっているのかを順に解説します。

目次

この間取りの前提条件

  • 敷地面積:74坪
  • 道路:南道路
  • 階数:平屋
  • 間取り:3LDK(L字型)
  • 延床面積:104.34㎡(31.5坪)
  • 想定家族構成:夫婦+子ども2人
  • LDK:18.5帖
  • 主寝室:6帖、子ども部屋:4.5帖×2(将来間仕切りを想定)
  • WIC:5帖、パントリー:2.5帖、収納:1.5帖
  • ランドリールーム:2帖、浴室:1616サイズ
  • トイレ:2か所
  • 外部:L字の内側にタイルデッキ、駐車スペース3台

74坪は、平屋・庭・駐車場の3つを同時に成り立たせようとすると、決して余裕のある広さではありません。そのため、何を優先し、何を割り切るかを先に整理してから配置を決めています。

敷地とL字配置の考え方

敷地は北側と南側の境界がやや斜めに振れた台形に近い形で、南側が道路に面しています。建物は、北側に間口12,740mmの横長の棟を置き、その東端から南へ個室の棟を伸ばしたL字型です。北側の棟の奥行きは5,460mm、東側の棟を含めた南北方向の長さは11,830mmあります。

L字の内側、つまりLDKの南側で個室棟の西側にあたる場所に、タイルデッキの庭を設けています。この庭は北をLDK、東を個室棟に囲まれ、南側は植栽帯で駐車スペースと隔てられています。建物そのものが庭の2辺を囲む壁の役割を果たすため、塀を高く立てなくても、庭に「囲まれた落ち着き」が生まれます。

駐車スペースは、敷地の南側、道路沿いに3台を横に並べています。道路に面して3台を並べているので、車の出し入れはシンプルです。その北側に植栽帯、さらにその北にタイルデッキと続くため、道路 → 車 → 緑 → 庭 → LDKと、道路からLDKまでの間に何層かの距離がとられています。

仮に建物をL字にせず、北側に長方形でまとめた場合を考えてみます。その場合、建物の南側は庭も駐車場も同じ一つの空間になり、庭は車の横に細長く残るだけになりがちです。L字にして東側に個室棟を出すことで、庭の東側を建物でふさぎ、庭と駐車場の境目をはっきりさせています。

玄関|家族と来客で入口を分ける2way動線

西側の玄関まわりの拡大図。西向きの玄関ドアを入ると広いタイルの土間があり、北側にL字の棚を備えた土間収納、南側にシューズボックス付きのホール、ホールの東側にLDKへの入口がある

玄関は建物の西側にあり、道路から敷地の西側に沿って伸びる飛び石のアプローチを通ってポーチへ向かいます。玄関ドアを開けるとタイル張りの土間が広がり、そこから道が2つに分かれます。

  • 来客の動線:土間 → 南側のホール(シューズボックス付き)→ LDK
  • 家族の動線:土間 → 北側の土間収納(L字の棚)→ 北側の廊下(トイレ・洗面台)→ WIC・LDK

家族は靴のまま土間収納へ進み、ベビーカーや外遊びの道具、上着などを置いてから上がります。上がった先はトイレと洗面台のある北側の廊下なので、帰宅後すぐに手を洗えます。来客はホールから直接LDKへ案内でき、土間収納や洗面まわりの生活感を見せずに済みます。

2way動線の玄関は、土間と通路の面積が増えるのが弱点です。このプランでは、土間収納そのものを家族の通り道にすることで、通路だけの面積を増やさないようにしています。ただし、通り道を兼ねる以上、棚の前に物を置きすぎると通れなくなるため、床に物を置かない収納の工夫が必要です。

LDK18.5帖|庭に視線を集める平屋の中心

LDK18.5帖とタイルデッキの拡大図。西側にL型ソファとテレビボード、中央にダイニングテーブルとつながったI型キッチン、背面にカップボードと冷蔵庫置場があり、南側の窓の外にタイルデッキと植栽帯が広がる

LDKは18.5帖で、北側の棟の中央に横長に配置しています。西寄りにL型のソファ、テレビボードは玄関側の西の壁に置き、中央から東寄りにダイニングテーブルとキッチンが横一列に並びます。南側の窓はタイルデッキに面しており、ソファからもダイニングからも庭が目に入る構成です。

南道路の土地でLDKを道路側へ大きく開くと、日当たりは良くても、道路を歩く人や車からの視線が気になり、レースカーテンを閉めたままになりがちです。このプランでは、LDKの窓の先にあるのは道路ではなく、L字に囲まれた庭です。庭の先にも植栽帯と駐車スペースがあるため、道路との間に距離ができ、カーテンを開けて過ごしやすくなります。

キッチンとダイニングの横並び

キッチンはコンロとシンクを一列に並べたカウンターで、その西端にダイニングテーブルをつなげています。料理をテーブルへ運ぶ、食べ終えた食器を下げる、といった動きが横移動だけで済み、配膳や片付けがシンプルになります。背面にはカップボード(CB)と収納、冷蔵庫置場(R)が並び、振り返れば手が届く位置です。

キッチンに立つと南側を向くため、ダイニング越しに庭を眺めながら作業できます。一方で、LDK側からキッチンの手元が見えやすい配置なので、調理中の散らかりが目に入りやすい点は理解しておきたいところです。

パントリー2.5帖|収納と家事机を兼ねる

キッチン東側のパントリー2.5帖の拡大図。北側に家事机のカウンターと椅子、東側から南側にL字の棚があり、北隣に浴室、南側に1.5帖の収納が続く

キッチンの東側には通路を挟んでパントリー(2.5帖)があり、その南隣に収納(1.5帖)が続きます。パントリーは、L字に回した棚に加えて、北側の壁に椅子を置いた家事机のカウンターを設けているのが特徴です。

食品や日用品のストックを管理しながら、献立を考える、書類を整理する、家計簿をつけるといった作業を、LDKから少し離れた場所で落ち着いて行えます。リビングのテーブルに書類を広げたままにしなくて済むのも利点です。一方で、図面上で窓の描かれていない小部屋に机を置くため、照明とコンセントの位置、換気を計画段階で決めておく必要があります。

洗面台は廊下に独立させる

北側の廊下の拡大図。西端に1帖のトイレ、その東隣に窓に面した独立型の洗面カウンターがあり、廊下の南側にLDKへの入口、東側にWICへの入口がある

北側の廊下には、トイレ(1帖)と、その東隣に窓に面した独立型の洗面カウンターが並びます。洗面を脱衣室から切り離して廊下に置くことで、入浴中でもほかの家族が洗面台を使えます。2人が横並びで使える幅を確保しているので、朝の身支度の時間帯の混雑もやわらぎます。

トイレには手洗いを設けず、すぐ隣の洗面台を手洗いとして兼用する考え方です。来客がトイレを使ったあとも、脱衣室に入ってもらう必要がありません。洗面台が家族の通り道である廊下に面しているため、洗面まわりを整えておくことが前提になる点は、あらかじめ理解しておきたいところです。

ランドリールーム2帖とWIC5帖の洗濯動線

WIC5帖とランドリールーム2帖の拡大図。通り抜けできるWICの北と南の壁にハンガーパイプがあり、東隣のランドリールームには洗濯機置場とカウンターがあって浴室につながる。WICの南側にはカップボードと冷蔵庫置場がある

北側の棟の東寄りには、西からWIC(5帖)、ランドリールーム(2帖)、浴室(1616サイズ)が一列に並んでいます。ランドリールームは脱衣室を兼ね、洗濯機置場とカウンターを備えています。

WICは西側で北側の廊下に、東側でランドリールームにつながる通り抜け型で、北と南の両方の壁にハンガーパイプが描かれています。洗濯機から取り出した衣類を干し、乾いたらそのまま隣のWICへ掛けるという流れが、数歩の範囲で完結します。朝は、家族がWICで着替えてから北側の廊下を通って洗面台へ、という動きにもなります。

さらに、ランドリールームは南側でキッチン東側の通路ともつながっています。そのため、LDK → 北側の廊下 → WIC → ランドリールーム → キッチン東側の通路 → LDKと一周できる回遊動線ができています。料理の合間に洗濯機を回す、といった家事の並行がしやすい配置です。

注意したいのは、ランドリールームが2帖と広くはない点です。家族4人分の洗濯物をすべて室内に干すには物干しの長さが足りない可能性があり、ガス衣類乾燥機や除湿機を併用する、天気の良い日はタイルデッキで干すなど、干し方の想定をしておくと安心です。

個室棟|主寝室と子ども部屋、廊下のデスク

東側の個室棟の拡大図。北から収納とタイルデッキに面した廊下のデスクスペース、ベッド2台の主寝室6帖、0.9帖ほどのトイレ、点線で仕切られた子ども部屋4.5帖2室が並び、子ども部屋の南側に植栽帯がある

廊下のデスクから庭を眺める

LDKの南東の扉から個室棟へ入ると、南北に伸びる廊下の西側に収納と、窓に面したデスクカウンターがあります。窓の外はタイルデッキの庭で、在宅ワークや子どもの勉強、ちょっとした作業を、庭を眺めながら行える場所です。

書斎を個室にすると扉や壁の分だけ面積が必要になりますが、廊下の一部をデスクにすれば、通路の幅を少し広げるだけで居場所がつくれます。家族の気配を感じながら作業できる反面、オンライン会議のように音を出す用途には向かない場合もあります。

主寝室6帖は寝ることに集中する部屋

主寝室は6帖で、ベッド2台を並べたシンプルな部屋です。衣類は北側の棟のWICにまとめる前提のため、収納や書斎機能を詰め込まず、寝ることに集中する部屋と割り切っています。東側に窓があり、朝の光が入りやすい向きです。

子ども部屋は将来仕切る前提の2室

個室棟の南端には、4.5帖の子ども部屋が2室並びます。図面では2室の境が点線で描かれ、扉は廊下に2か所、クローゼットは東西の外壁側にそれぞれ設けられています。子どもが小さいうちは9帖の1室として使い、成長に合わせて間仕切る前提です。扉・収納・窓を最初から2室分用意しているので、仕切るときの工事を小さく抑えやすくなります。

主寝室と子ども部屋の間には、0.9帖ほどのトイレと廊下が挟まっています。壁一枚で隣り合うよりは音が伝わりにくいものの、同じ棟に寝室が集まっている点は変わりません。トイレの給排水音が寝室に伝わりにくいよう、配管の経路や壁の仕様にも配慮したいところです。

注意点・弱点

子ども部屋が道路側に面する

個室棟を南へ伸ばした結果、子ども部屋は道路側に面しています。植栽帯を挟んではいるものの、通行人の視線や車の音が気になる可能性があります。窓の高さや大きさ、すりガラスの採用、植栽の高さなどで調整を考えておきたい部分です。

庭と駐車場は植栽帯で隔てるだけ

タイルデッキの南側は植栽帯を挟んで駐車スペースです。車の出入りの音やヘッドライトの光が庭やLDKに届くことがあるため、植栽の密度や、必要に応じた低い塀の追加を検討しておくと安心です。

午前中は個室棟の影が庭に落ちる

庭の東側を個室棟が囲んでいるため、朝の低い日差しは個室棟にさえぎられ、午前中はタイルデッキに影が落ちやすくなります。昼から午後にかけては南と西から光が入るので、庭で過ごす時間帯や洗濯物を干す時間帯とあわせて考えておきたい点です。

L字型は外壁と屋根の形が複雑になる

同じ延床面積の長方形の平屋と比べると、L字型は外壁の長さや出隅・入隅が増え、屋根の形も複雑になります。建築費や雨仕舞いの検討が必要になる点は、形を決める前に理解しておきたいところです。

同じ74坪の土地で描いた別案

同じ74坪・南道路の土地で、建物の形を変えた別案も描いています。玄関を前に張り出して庭と駐車場を分けるプランでは、L字ではなく玄関部分を南へ突き出すことで、西側の庭と東側の駐車スペースを建物で分けています。駐車3台の並べ方も、こちらは横一列、別案は南西に1台と南東に2台と異なります。

同じ敷地でも、庭を「建物で囲む」か「建物で区切る」かによって、LDKの向き、個室の位置、玄関までのアプローチが大きく変わります。両方を見比べると、ご自身の土地でどちらの考え方が合うかを判断しやすくなるはずです。

この間取りが向いている方

  • 敷地70坪台で、庭のある平屋を検討している方
  • 庭を眺めるだけでなく、デッキに出て使いたい方
  • 家族用と来客用で玄関の動線を分けたい方
  • 洗濯からWICへの収納までを短い距離で済ませたい方
  • 子ども部屋を将来仕切る前提で計画したい方

反対に、建物の形をできるだけシンプルにしてコストを抑えたい方や、子ども部屋を道路から離したい方、4台以上の駐車スペースが必要な方には、別の配置の方が合う可能性があります。駐車台数が増えると、L字の開き方を調整しないと庭が中途半端になりやすいためです。

まとめ

敷地74坪・南道路の土地に、L字型の平屋31.5坪を計画しました。北側の棟にLDKと家事の空間、東側の棟に個室を置き、L字の内側にタイルデッキの庭を囲い込むことで、道路や駐車場から距離をとった、カーテンを開けて過ごせるLDKをつくっています。

室内は、家族と来客を分ける2wayの玄関、廊下に独立させた洗面台、ランドリールームとWICをつなぐ回遊動線、家事机のあるパントリー、庭を眺める廊下のデスクと、日々の動きに合わせた工夫を重ねています。一方で、子ども部屋が道路側に面すること、庭と駐車場の近さ、午前中の庭の日当たり、L字型のコストといった引き換えもあります。敷地の広さだけで平屋をあきらめる前に、配置と優先順位から考えてみる参考になれば幸いです。

※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。

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