【平屋31.25坪・3LDK】板塀と植栽で道路の視線をかわすコの字の中庭|南道路の角地で駐車4台と開放的なLDKを両立

平屋31.25坪・3LDKのコの字型間取り図。中央に勾配天井のLDK19.25帖、西側の翼に寝室6帖と洋室4.5帖2室・WIC4帖、東側の翼に玄関・シューズクローク3帖・洗面脱衣室・浴室・パントリー2.5帖。南側の中庭に板塀と植栽、その手前に駐車スペース4台と物置。外観、LDKのパース、洗面と脱衣室の展開図、中庭の断面スケッチ付き

南側が道路に面した分譲地の角地は、日当たりがよく、敷地の見通しも開けています。その一方で、道路を歩く人や車から建物の南面がよく見えるため、平屋では「南の大きな窓ほどカーテンを開けにくい」という悩みが起きやすい条件でもあります。

今回ご紹介するのは、87坪の角地に計画した延床31.25坪(103.51㎡)の3LDKの平屋です。建物を上から見てコの字型にし、両側の翼で中庭の左右を囲み、道路側には高さ1.8mの板塀と植栽を設けました。LDKは道路ではなく、この中庭に向かって大きく開いています。

この記事では、コの字型にした理由、板塀の高さと距離の考え方、西側の寝室ゾーンと東側の水廻りゾーンの分け方、4台分の駐車スペースとの関係、そしてこの形ならではの注意点まで解説します。

目次

この間取りの前提条件

  • 敷地:87坪・分譲地の角地(南道路)
  • 階数:平屋
  • 間取り:3LDK
  • 延床面積:31.25坪(103.51㎡)
  • 建物の外形:東西約15.47m×南北約9.1m(両翼の幅3.64m・中央部8.19m)
  • LDK:19.25帖(勾配天井・デスクスペース付き)
  • 主寝室:6帖/洋室:4.5帖×2
  • 収納:WIC4帖、パントリー2.5帖、シューズクローク3帖
  • 水廻り:洗面(独立)、脱衣室2.5帖、浴室1621サイズ、トイレ2か所
  • 外部:中庭(タイルデッキ・植栽・板塀)、駐車スペース4台、物置・バイクガレージ

延床31.25坪は、夫婦と子ども2人程度の家族が平屋で暮らすことを考えたとき、無理のない広さです。そこに「道路からの視線をどう整理するか」というテーマを加え、建物の形そのもので答えを出そうとしているのが本計画の特徴です。

角地の南道路で起きやすい問題

南道路の敷地では、LDKを南側に置けば明るい部屋になります。ただし平屋の場合、床の高さが道路から数十cm程度しか上がらないことが多く、道路を歩く人の目線と室内にいる人の目線がほぼ同じ高さになります。2階建ての2階リビングのように、高さで視線を外すことができません。

さらに角地は、二方向から敷地が見えます。図面でも南西の角が斜めに切られた形になっており、南側だけでなく西側からも建物が見える位置関係です。南面の窓を大きくすると、結果的にレースカーテンを閉めたまま過ごすことになりやすく、せっかくの日当たりや開放感を活かしきれません。

そこで本計画では、窓を減らすのではなく、窓の外にもうひとつ「家族のための外部空間」をつくり、その外側で視線を止めるという順番で考えています。窓→中庭→板塀→道路という層をつくることで、室内から見えるのは中庭の植栽、道路から見えるのは板塀と植栽、という関係に整理しています。

コの字型にした配置の考え方

建物は東西約15.47mの横長で、西側と東側にそれぞれ幅3.64mの翼を南へ伸ばし、中央の8.19mの部分を北側に下げています。この下がった部分の南側が中庭です。中庭の奥行きは建物の南北寸法約9.1mのおよそ半分にあたり、LDKの窓から板塀までの距離は断面スケッチで約4.5mとされています。

コの字型の良さは、中庭の東西を建物自体が囲むことです。塀だけで囲む場合と比べて、横方向からの視線を建物の壁で止められるため、板塀は南側の一面だけで済みます。また西側の翼に寝室、東側の翼に玄関と水廻りを割り当てることで、中庭を挟んで「休む側」と「家事をする側」が自然に分かれています。

駐車スペースは建物と道路の間、南側に4台分を並べています。中央に玄関へ向かうアプローチを通し、その両側に2台ずつ配置しているため、車の出し入れとアプローチを歩く動きが重なりにくい構成です。南西の角には物置・バイクガレージを置き、斜めに切れた敷地の角を収納スペースとして使っています。

中庭と板塀で視線をコントロールする

板塀の高さは1.8m

中庭の南側には、高さ1.8mの板塀を設けています。1.8mは、一般的な成人が立ったときの目線(おおむね1.5〜1.6m前後)より少し高い寸法です。道路に立った人が塀越しに中庭をのぞき込みにくく、それでいて圧迫感が強くなりすぎない高さといえます。

外観スケッチを見ると、板塀は中庭の幅いっぱいに建てるのではなく、両翼の間に収まる長さで描かれています。建物の白い外壁と木の板塀、その上からのぞく植栽の組み合わせで、道路側から見ても閉じた箱のような印象になりにくいよう意識されています。

「植栽にピントを合わせる」という考え方

断面スケッチには、板塀で目隠しをしたうえで、道路側から見た人の視線のピントが植栽に合うと、その奥の建物にはピントが合いにくい、という趣旨の書き込みがあります。

人の目は、手前に目を引くものがあるとそこに焦点が合い、奥のものはぼんやりと認識されます。板塀の手前と内側に樹木を配置しておけば、道路からは「木のある家」という印象が先に立ち、窓の中までは意識されにくくなります。塀を高くして完全に隠すのではなく、高さ1.8mの塀と植栽を組み合わせて視線をずらす考え方です。

窓から約4.5mの距離がある理由

LDKの窓から板塀までは約4.5mの距離があります。塀が窓のすぐ前にあると、室内からは壁を見ているような圧迫感が出ますが、4m以上離れていれば、座った位置から見ても塀の上に空が広がり、植栽の枝ぶりも全体が視界に入ります。

中庭のLDK側にはタイルデッキを設けているため、窓を開けてそのまま外に出られます。道路から見えにくい場所なので、子どもを遊ばせる、洗濯物を少し干す、椅子を出して休むといった使い方も、人目を気にせずにしやすくなります。

勾配天井のLDK19.25帖

LDKは19.25帖で、リビング側に勾配天井を設けています。パースでは、中庭側に掃き出し窓が並び、その上の天井が斜めに大きく持ち上がった形で描かれています。床面積を増やさずに、視線が上へ抜ける広がりをつくる構成です。

リビングの西側の壁には壁掛けテレビを計画し、テレビボードを低く抑えています。北側の壁は少し奥まった形になっていて、本棚とデスクスペースを設けています。在宅ワークや子どもの宿題、家計の管理など、LDKの中で少し腰を落ち着けて作業する場所として使えます。テレビとデスクを別の壁に分けているため、くつろぐ人と作業する人が同じ空間にいても、視線がぶつかりにくい配置です。

キッチンはLDKの東側にあり、シンクとコンロを並べたカウンターを、ダイニングテーブルと向き合う形で置いています。キッチンに立つと、ダイニング、リビング、その先の中庭までが一続きに見える位置です。

西側の翼:寝室ゾーン

WIC4帖をLDKとの間に挟む

西側の翼には、北から洋室4.5帖、洋室4.5帖、トイレ、主寝室6帖が並んでいます。そしてLDKとの間には、両側にハンガーパイプを設けたWIC4帖を配置しています。

このWICは収納であると同時に、LDKと寝室の間の緩衝帯の役割も持っています。平屋はすべての部屋が同じ階にあるため、LDKのテレビの音や話し声が寝室に伝わりやすいことが弱点のひとつです。衣類が詰まった収納を間に挟むことで、壁一枚で隣り合う場合より音が伝わりにくくなります。

寝室側にもトイレを設けている

西側の翼には、寝室群に近い位置にトイレを設けています。東側の水廻りにもトイレがあるため、この住まいはトイレが2か所です。夜中に寝室から行く場合も、LDKを横切らずに済みます。朝の身支度の時間帯に、家族がトイレで待つことも減らせます。

洋室4.5帖はそれぞれに収納があり、ベッドと机を置ける広さです。子ども部屋としてはコンパクトですが、その分の面積をLDKと中庭に回すという配分になっています。

東側の翼:玄関と水廻りゾーン

シューズクロークから室内へ

アプローチを進むと、中庭のタイル部分に面した玄関に入ります。玄関土間の南側には両側に棚を設けたシューズクローク3帖があり、靴、傘、外遊びの道具、ベビーカーなどを土間のまま収納できます。玄関の正面に物が出にくく、中庭側から玄関を見たときの印象も整えやすくなります。

玄関ホールからは扉を通ってLDKのキッチン側へ入る構成で、買い物から帰って荷物をキッチンやパントリーに運ぶ距離が短くなっています。

洗面・脱衣室・浴室を縦に並べる

キッチンの東側には、北から順にパントリー2.5帖、トイレ、洗面、脱衣室2.5帖、浴室(1621サイズ)が並んでいます。洗面は脱衣室とは分けて通路側に設けているため、誰かが入浴中でも手洗いや歯磨きができます。展開図では、幅約1,650mmの洗面カウンターと鏡収納が描かれています。

脱衣室の展開図には、洗濯機の横に作業台、天井付近に室内物干しが描かれています。洗う、干す、畳むを脱衣室の中で完結しやすい計画です。ただし、脱衣室で干す場合は換気や除湿の能力を確保しておかないと、湿気がこもりやすくなる点には注意が必要です。

この間取りの注意点・デメリット

外周が長く、建築費が上がりやすい

コの字型は、同じ床面積の四角い平屋と比べて外壁の長さ、基礎の長さ、屋根の入隅が増えます。図面の建物でも、中庭まわりに凹凸が集中しています。断熱や防水の手間も増えるため、総額では整形な平屋より費用がかかりやすい形です。

中庭の排水と落ち葉の掃除

三方を建物、一方を板塀で囲んだ中庭は、雨水と落ち葉が溜まりやすい場所です。タイルデッキの勾配、雨水の排水経路、屋根からの雨の落ち方を事前に検討しておく必要があります。植栽も、落葉樹を選ぶのか常緑樹を選ぶのかで、掃除の頻度が変わります。

主寝室が駐車スペース側に面する

主寝室6帖は西側の翼の南端にあり、南側は駐車スペース、西側も道路側に面する位置です。車のエンジン音やヘッドライトの光が気になる場合があるため、窓の高さや大きさ、遮光カーテン、外構の植栽で対策を考えておくと安心です。

板塀は外構工事として後回しにしにくい

この住まいは、板塀と植栽があって初めて中庭が「見られない場所」になります。建物だけ先に建てて外構を後回しにすると、引っ越し直後は中庭が道路から丸見えになります。板塀と植栽は建物と同じ予算の中で計画しておく必要があります。木製の板塀は定期的な塗装や部材の交換も見込んでおきます。

子ども部屋は4.5帖とコンパクト

洋室は4.5帖ずつで、ベッドと机を置くと大きな家具はあまり置けません。収納はWICとの使い分けを決めておくことが大切です。

他の配置との比較

配置視線の止め方良い点気になる点
コの字型+板塀(本計画)建物で東西、板塀で南を囲む中庭を室内の延長として使いやすい外周が長く建築費が上がりやすい
長方形の平屋+南側に高い塀塀だけで視線を止める建物の形がシンプルで費用を抑えやすい塀が長く高くなり、圧迫感が出やすい
L字型建物で一方向、塀で二方向コの字より外周が短い囲まれ感はコの字より弱くなる
ロの字型(完全な中庭)四方を建物で囲む視線をほぼ完全に遮れる費用・排水・通風の難しさが増す

仮に建物を長方形にしてLDKを南に向け、南側に塀を立てる場合、塀の長さは建物の幅15m前後が必要になり、両端から斜めにのぞかれる視線にも対応しなければなりません。本計画のようにコの字にすれば、板塀は中庭の幅(約8m)分で済み、横からの視線は建物の壁が受け止めます。費用は建物側に、塀の負担は小さく、というバランスの取り方です。

また、子ども部屋を将来的に1室増やしたい場合や収納をさらに増やしたい場合は、中庭を少し浅くして中央部を南へ広げる方法も考えられます。ただし窓から板塀までの距離が縮まるため、圧迫感とのバランスを確かめる必要があります。

この間取りが合う方

  • 南道路や角地で、道路からの視線が気になる方
  • 平屋でもカーテンを開けて過ごしたい方
  • 中庭を子どもの遊び場や家族の外の居場所にしたい方
  • LDKと寝室の音をできるだけ分けたい方
  • 車を複数台停めたい方
  • 建物と外構をあわせて予算を組める方

この間取りが合わない可能性がある方

  • 建築費をできるだけ抑えたい方
  • 植栽や板塀の手入れに時間をかけたくない方
  • 子ども部屋を広く取りたい方
  • 道路側に開いた明るい庭を楽しみたい方

まとめ

本計画は、87坪の南道路の角地に建つ、延床31.25坪の3LDKの平屋です。建物をコの字型にして中庭を囲み、道路側には高さ1.8mの板塀と植栽を設けることで、LDKの大きな窓を道路ではなく中庭へ向けています。

西側の翼には寝室とWIC、東側の翼には玄関、シューズクローク、水廻り、パントリーをまとめ、中庭を挟んで生活の場所を分けました。WICをLDKと寝室の間に挟む、トイレを両側に設けるなど、平屋の弱点になりやすい音と動線にも配慮しています。

一方で、外周が長いことによる建築費、中庭の排水と落ち葉、主寝室と駐車スペースの近さ、板塀のメンテナンスといった注意点もあります。視線を気にせず開放的に暮らすことと、そのための費用や手間を比べたうえで選びたい形です。

※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。

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