
平屋は広い土地がないと建てられない、と思われることがあります。たしかに平屋は必要な部屋をすべて1階に並べるため、同じ延床面積の2階建てより建物が地面に占める面積は大きくなります。それでも、分譲地のような60〜70坪前後の敷地で平屋を希望される方は増えています。
今回ご紹介するのは、65坪の敷地に計画した延床24.25坪の平屋です。建物の外形は約9.1m×9.1mのほぼ正方形で、現在は2LDK、将来は子ども部屋を2つに分けて3LDKとして使える計画です。
この記事では、65坪の敷地に建物・駐車場3台・庭をどう収めているか、正方形の平面に部屋をどう詰めているか、そしてコンパクトな平屋だからこそ注意したい点を解説します。
この間取りの前提条件
- 敷地:65坪(図面上は約14m×約15mの整形地)・東道路
- 階数:平屋
- 間取り:2LDK(将来3LDK対応)
- 延床面積:24.25坪
- 建物の外形:約9.1m×約9.1m
- LDK:17帖
- 主寝室:6帖
- 洋室:7.5帖(将来3.75帖×2に分割)
- 収納:WIC3帖、カップボード、シューズボックス、各室クローゼット
- 水廻り:洗面、洗濯脱衣室2帖、浴室1616サイズ、トイレ
- 外部:南側のタイルデッキと庭、駐車スペース3台
24.25坪は平屋としてはコンパクトな部類です。そのぶん建物が地面に占める面積が抑えられ、65坪の敷地でも駐車場と庭を確保する余地が生まれます。
65坪の敷地をどう割り振っているか
図面の敷地はおよそ14m×15mで、建物は西側と北側に寄せて配置しています。建物と北側の境界の距離は1m弱、西側は2m弱程度で、東側には道路に沿って幅3m強の駐車スペース、南側には約5mの奥行きの外部空間が残っています。
建物を北に寄せる配置は、平屋で日当たりを確保するための基本的な考え方です。北側をぎりぎりまで使い、南側の空きを大きくするほど、南の隣地に建物が建ったときにも冬の低い日差しが届きやすくなります。本計画でも、南側の空きをLDKの前のタイルデッキと庭に充てています。
東道路の敷地では、道路側に駐車場を取ると、建物は自然と敷地の西寄りになります。本計画では、道路沿いの帯状のスペースに2台、南東の角に1台の合計3台分の駐車枠を描いています。南東の1台分はアプローチの舗装とつながっていて、駐車場、玄関アプローチ、庭が無理なく連続する構成です。
9.1m四方の正方形に部屋を詰める
正方形の平面は、同じ床面積で比べたときに外壁の長さが短く、コストと断熱の面で有利な形です。一方で、建物の中央部に窓のない場所ができやすいという難しさもあります。
本計画では、北側に個室を一列に並べ、中央から南にLDKを広く取り、東側に水廻りと玄関を縦にまとめています。廊下はほとんどなく、LDKや水廻りの通路がそのまま各部屋への動線を兼ねています。24.25坪という面積でLDK17帖を確保できているのは、廊下にあたる面積をほぼゼロにしているためです。
また、建物の中心付近にはキッチンとカップボード、冷蔵庫、収納を集めています。窓が取りにくい中央部に、窓を必要としない機能を置くという考え方です。
LDK17帖と南側のタイルデッキ
南面に窓を並べる
LDKは建物の南西部分にあり、南面には複数の窓が並んでいます。その外側に、LDKの幅いっぱいにタイルデッキを設けています。デッキの奥行きは図面からおよそ1.8m程度と読み取れ、椅子を出して座ったり、洗濯物を干したりするのに使える寸法です。
デッキの先は庭で、南西の角に植栽をまとめています。リビングのソファに座ると、デッキ越しに庭の緑が見える位置関係です。広い庭ではありませんが、平屋は室内と庭の床の高さが近いため、小さな外部空間でも室内の延長として感じやすくなります。
リビングとダイニングの配置
リビングは西側の壁にテレビボードを置き、それに向けてL字型のソファを置いています。ダイニングは東寄りに丸いテーブルを置いた計画です。丸テーブルは角がなく、四角いテーブルより少ない面積で椅子を回り込ませやすいため、コンパクトなLDKと相性のよい家具です。
キッチンはLDKの北側にあり、シンクとコンロを並べたカウンターを南向きに置いています。キッチンに立つと、ダイニング、リビング、その先のデッキと庭まで見渡せます。背面にはカップボード、東側に冷蔵庫と収納を並べ、調理中の移動を数歩で済ませられる配置です。
将来2室に分けられる7.5帖の洋室
建物の北西には、点線で区切られた3.75帖の洋室が2つ描かれています。現在はこの点線部分に壁を設けず、7.5帖の一室として使い、子どもが個室を必要とする年齢になったら壁を立てて2室に分ける計画です。
図面では、2室それぞれに出入口の扉と収納が用意されており、ベッドを置く位置も描かれています。将来分ける部屋では、扉、窓、照明、コンセント、エアコンの位置を最初から2室分用意しておくことが重要で、本計画もその前提で描かれています。
注意したいのは、3.75帖という広さです。シングルベッドと学習机を置くと、ほぼそれだけで部屋が埋まります。勉強はLDKで、個室は寝る場所と割り切るのか、ロフトベッドなどで床を空けるのか、分割後の使い方を家族で話し合っておくとよいでしょう。
また、子ども部屋のクローゼットの背中側はキッチンのカップボードになっています。収納同士を背中合わせにすることで、LDKの音が子ども部屋に伝わりにくくなる効果も期待できます。
WIC3帖と主寝室6帖
洋室の東隣にはWIC3帖があり、両側にハンガーパイプを設けています。その東側、建物の北東角が主寝室6帖です。主寝室には大きめのベッドを2台並べて置ける広さがあります。
WICを子ども部屋と主寝室の間に挟むことで、寝室同士が直接壁を接しない配置になっています。家族が増えたあとも衣類をまとめて管理しやすく、各個室のクローゼットを小さく抑えられる点も、コンパクトな平屋には向いています。
東側に集めた水廻りと玄関
建物の東側には、北から洗濯脱衣室2帖、浴室(1616サイズ)、トイレ、玄関ホールが並んでいます。その西隣のタイル張りの通路には洗面台があり、LDK、主寝室、トイレ、脱衣室をつないでいます。
洗面を脱衣室の外に出しているため、入浴中でも手洗いや身支度ができます。洗濯脱衣室には洗濯機と上部の収納が描かれています。2帖の脱衣室は、室内干しまで兼ねると手狭になりやすい広さなので、干す場所はデッキや乾燥機と組み合わせて考えるのが現実的です。
玄関は建物の南東の角を少し凹ませたポーチから入る形です。ホールの南側にはシューズボックスを設け、ホールからLDKへ直接入れます。ホールからLDKに入るとすぐ横が洗面へ続く通路で、帰宅後に手を洗うまでの距離も短く収まっています。
この間取りの注意点・デメリット
駐車スペースが建物の東面に接している
道路沿いの駐車スペースは、建物の東の外壁のすぐ横にあります。この面には主寝室と洗濯脱衣室があるため、車のドアの開閉音や夜間のヘッドライトが気になる可能性があります。窓の高さや種類、遮光の方法をあらかじめ検討しておく必要があります。
道路沿いの2台は出し入れの順番が生まれる
図面の駐車枠は、道路沿いの2台が道路に平行な向きに描かれています。2台を前後に並べる形の場合、奥の車を出すときに手前の車を動かす必要が出ることがあります。普段どの車をどこに停めるかを決めておくと使いやすくなります。
分割後の子ども部屋は小さい
3.75帖は個室としてはかなりコンパクトです。家具の大きさや持ち物の量によっては、分割後に狭さを感じる場合があります。
収納量には限りがある
WIC、カップボード、シューズボックス、各室のクローゼットはありますが、土間収納や納戸のような大きな収納はありません。アウトドア用品や季節家電が多い家庭では、屋外物置などを含めて収納計画を立てる必要があります。
中央部は窓が少なくなる
正方形の平面では、建物の中央付近に外壁が接しません。キッチンや洗面まわりは照明計画をしっかり行い、昼間でも暗く感じないように配慮が必要です。
他の配置との比較
| 案 | 内容 | 良い点 | 気になる点 |
|---|---|---|---|
| 正方形の平屋(本計画) | 9.1m四方に部屋を集約 | 外壁が短く、廊下がほぼない | 中央部が暗くなりやすい |
| 横長の平屋 | 南面を広くして部屋を並べる | 各室に南の光を入れやすい | 廊下が増え、駐車や庭の幅が減る |
| 2階建て | 個室を2階に上げる | 庭や駐車場を広く取れる | 階段の上り下りが必要になる |
仮に同じ面積を東西に長い長方形で計画すると、すべての部屋を南に向けやすくなる一方で、建物の幅が東西の敷地幅いっぱいに近づき、道路側の駐車スペースが取りにくくなります。東道路の65坪という条件では、正方形に近い形で建物の幅を抑え、道路側に駐車スペースの帯を残す本計画の配置が合理的といえます。
アレンジとしては、最初から3LDKとして壁を設ける、または分割せずに7.5帖を書斎兼ファミリークローゼットとして使う方法も考えられます。子どもがいない夫婦の場合は、北側の洋室を趣味室やゲストルームとして使うこともできます。
この間取りが合う方
- 60〜70坪前後の分譲地で平屋を検討している方
- 夫婦と子ども1〜2人で、広さより動きやすさを重視したい方
- 子どもが小さいうちは部屋を広く使いたい方
- 車を3台程度停めたい方
- 建築費や光熱費を抑えやすいコンパクトな形を選びたい方
この間取りが合わない可能性がある方
- 子ども部屋を最初から広く確保したい方
- 大きな土間収納や納戸がほしい方
- 庭を広く取りたい方
- 寝室を道路や駐車場から離したい方
よくある質問
Q1.65坪の敷地で平屋を建てるとき、建物は何坪くらいが目安ですか?
建ぺい率や駐車台数によって変わりますが、駐車場を3台確保して庭も残したい場合、本計画のように25坪前後に抑えると配置に余裕が出やすくなります。30坪を超える平屋にすると、駐車台数か庭のどちらかを減らす判断が必要になることが多いです。
Q2.子ども部屋はいつ分けるのがよいですか?
年齢だけで決めるのではなく、就寝時間や勉強の環境、本人たちの希望を見て判断します。建築時に扉、照明、コンセント、エアコンの準備をしておけば、間仕切り壁を立てる工事だけで済み、必要になった時点で対応しやすくなります。
Q3.廊下がない間取りで困ることはありますか?
廊下がないぶん面積を有効に使えますが、LDKや通路を通って各部屋へ行くことになるため、来客時に家族が水廻りや寝室へ移動しにくいと感じる場合があります。本計画では玄関ホールからLDKに入り、キッチン脇の通路を通って洗面へ向かう形です。来客が多い家庭では、LDKのどこに視線が届くかを確かめておくと安心です。
まとめ
本計画は、65坪の東道路の敷地に建つ、延床24.25坪の平屋です。建物を9.1m四方のほぼ正方形にまとめて北西に寄せ、道路側に駐車スペース3台、南側にタイルデッキと庭を確保しています。
室内は、北側に将来2室に分けられる7.5帖の洋室、WIC3帖、主寝室6帖を並べ、中央から南にLDK17帖、東側に水廻りと玄関をまとめました。廊下をほとんどつくらないことで、コンパクトな面積の中にゆとりのあるLDKを確保しています。
一方で、駐車スペースと寝室の近さ、分割後の子ども部屋の広さ、収納量、中央部の明るさには注意が必要です。広い敷地でなくても、何を優先するかを整理すれば平屋は十分に計画できる、ということを示す一例です。
※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。
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