【2階建て30.25坪・3LDK】猫が歩ける化粧梁と鉄骨階段の吹き抜けLDK|北道路の台形地に斜め駐車を収めた住まい

2階建て3LDKの配置兼1階平面図、2階平面図、北側立面図。北道路に面した台形の敷地に斜め駐車2台と縦列1台、レンガ敷きのアプローチ、20帖のLDKと鉄骨階段、6帖の主寝室、2階は化粧梁が3本渡る吹き抜けと4.5帖の洋室2室
目次

はじめに

猫と暮らす家では、床面積の広さよりも「上下に動ける場所」と「落ち着ける場所」があるかどうかが、猫にとっての住みやすさを左右します。とはいえ、キャットタワーや壁付けの棚を後から足していくと、リビングが猫用品で埋まり、人にとっての使いやすさや見た目が損なわれることもあります。

本計画は、北側で道路に接する70坪の台形の敷地に、延床30.25坪の2階建て3LDKを計画した提案です。20帖のLDKの上を吹き抜けとし、そこに渡した化粧梁と鉄骨の階段を、人の空間の一部であると同時に猫の通り道としても使えるようにしています。猫のトイレは、人のトイレの中に置き場を設けました。

この記事では、変形した敷地での駐車とアプローチの組み立て方、吹き抜けLDKと猫の動線、トイレと水廻りの計画を解説します。猫と暮らす家ならではの注意点や、ほかの方法との比較も整理します。

この間取りの前提条件

  • 階数:2階建て
  • 間取り:3LDK+書斎
  • 延床面積:100.19㎡(30.25坪)/1階73.70㎡・2階26.49㎡
  • 敷地面積:70坪
  • 道路:北道路(西側の境界が斜めの台形の敷地、道路側に電柱あり)
  • 建物の外形:間口10,010mm×奥行8,190mm(1階)
  • 駐車:3台(斜め駐車2台+1台)
  • 1階:LDK20帖、主寝室6帖、書斎2帖、WIC2帖、洗濯脱衣室2帖、トイレ2帖、パントリー1.5帖、浴室1616サイズ
  • 2階:洋室4.5帖×2、トイレ、LDK上部の吹き抜け
  • 家族構成:猫と暮らす家族を想定

2階は約8坪と小さく、主寝室を含む生活の中心はすべて1階にあります。2階には子ども部屋などに使える4.5帖の洋室が2室とトイレだけを置き、残りは吹き抜けとしています。

台形の敷地と駐車・アプローチの考え方

敷地は北側で道路に接し、西側の境界が斜めに振れているため、北が広く南が狭い台形をしています。道路側の北西の角付近には電柱があります。建物は長方形のまま敷地の東側に寄せ、斜めの西側境界との間に生まれる三角形の余白を、駐車場とアプローチ、植栽に充てています。

駐車は、道路に対して斜めに停める2台と、東側に道路と平行に置く1台の計3台です。斜めの2台の間にはレンガ敷きのアプローチが斜めに通り、建物北西のポーチへつながります。駐車スペースを道路に直角に並べると、斜めの境界や電柱の位置と干渉しやすくなりますが、角度を振ることで、限られた間口の中で車の出し入れとアプローチを両立しています。

北道路の敷地では、道路側に駐車場と玄関を置き、建物の南側を庭として残せるのが利点です。本計画でも、LDKの南にタイルデッキを設け、その先を庭としています。道路から見た北側の立面は、木の外壁と白い壁を組み合わせ、窓を小さく抑えた落ち着いた表情です。大きな片流れ屋根は道路側から見ると西へ向かって低くなり、建物の高さを感じさせにくい形になっています。

玄関から鉄骨階段のあるLDKへ

玄関はタイル張りのポーチから入り、北側の壁に沿って玄関からホールまで続く収納が描かれています。ホールの先はそのままLDKで、ホールの東から北側の壁に沿って鉄骨階段が上がっていきます。階段は踏板だけで構成するオープンな形式で、LDKの北側に配置されています。

階段を北の壁際に置いたのは、南側の窓まわりをLDKとして広く使うためです。北側に寄せた階段は、日当たりのよい南面を邪魔しません。蹴込み板のない鉄骨階段であれば、階段の向こう側まで視線が抜け、階段が壁のように空間を区切ることもありません。踏板と踏板の間から光や視線が通るため、階段が大きな家具のように圧迫感を与えにくいのも利点です。

猫にとっても、この階段は上下の移動経路になります。一段ずつ上る人と違い、猫は踏板を飛び移りながら上り下りし、踏板の上で座り込んで下を眺めることもあります。人の動線と猫の動線を、一本の階段で兼ねる計画です。

20帖のLDKと3本の化粧梁が渡る吹き抜け

LDKは20帖で、西の壁沿いにカップボード、その手前に対面キッチン、中央にダイニングテーブル、南寄りにソファを置く構成です。キッチンの東側には木のカウンターが付いており、腰掛けて軽食をとったり、調理する人と話したりできる形になっています。冷蔵庫はキッチンの北、1.5帖のパントリーと並ぶ位置にあります。

2階平面図を見ると、ダイニングとリビングの上が大きな吹き抜けになっており、そこに東西方向の化粧梁が3本渡されています。梁は北側の階段のすぐ脇から南に向かって、図面上はおおよそ1.8m前後の間隔で並んでいます。吹き抜けの梁は、天井の高い空間にリズムをつくる意匠であると同時に、猫が高い場所から部屋を見下ろして過ごせる居場所になります。

猫は高い場所で過ごすことを好み、家族の様子を上から見渡せる場所に落ち着く傾向があります。家具の上や冷蔵庫の上など、人が想定していない場所に上ってしまうよりも、吹き抜けの梁という「上ってよい場所」をあらかじめ用意しておく方が、人と猫の双方にとって暮らしやすくなります。人から見ても、梁の上でくつろぐ猫の姿が、LDKにいながら目に入る風景になります。

ただし、梁と梁の間はおよそ1.8mあるため、梁から梁へ猫が跳び移るには距離があります。階段から一本目の梁へ渡るルートを基本に、梁同士を行き来させたい場合は、壁際に足場となる棚板を追加するなど、猫が安全に移動できる経路を具体的に確認しておく必要があります。

猫のトイレを人のトイレに組み込む

1階トイレまわりの拡大図。2帖のトイレの奥に点線で示した猫のトイレ置き場が2か所、その北に洗濯機と作業台のある2帖の洗濯脱衣室、西に収納付きの独立洗面台、南に6帖の主寝室

1階のトイレは2帖と、一般的なトイレ(1帖程度)の約2倍の広さを取り、便器の奥に点線で示した猫のトイレの置き場を2か所設けています。猫を複数飼う場合や、猫が清潔なトイレを好むことを考えると、2か所置ける広さがあるのは心強い計画です。

人のトイレの中に置くことで、トイレ掃除のついでに猫のトイレも片付けられます。においの出る場所を一か所にまとめれば、換気扇の計画もトイレの換気と一緒に考えられます。リビングや洗面室の一角に置く方法と比べて、来客の目に触れにくく、LDKににおいが広がりにくいのも利点です。

一方で、猫は人がトイレを使っている間も出入りしたい場合があります。トイレの扉を閉めると猫が使えなくなるため、扉に猫用の出入口を設ける、あるいは扉を開けておく運用にするなど、扉の仕様を決めておくことが欠かせません。猫砂が床に散りやすいので、床材は掃除しやすく、においの染み込みにくいものを選ぶと安心です。

独立洗面台を中心に回れる水廻り

トイレの北には洗濯機と作業台を備えた2帖の洗濯脱衣室、さらにその北に浴室(1616サイズ)があります。洗面台は洗濯脱衣室から切り離し、LDKの東側に収納と一体の独立したカウンターとして置いています。この洗面台のまわりは両側を通れるため、LDKから洗面、トイレ、洗濯脱衣室、主寝室へと、行き止まりなく回れる動線になっています。

洗面台を独立させると、誰かが入浴中でも手洗いや歯磨きができ、帰宅後すぐに手を洗う習慣もつけやすくなります。洗濯脱衣室には作業台があるため、洗濯物を畳んだりアイロンをかけたりする作業もその場で済ませられます。

主寝室(6帖)は南東の角にあり、建物の北側には2帖の書斎と2帖のウォークインクローゼットが並びます。書斎は階段の上り口の東隣にあり、窓に向かってデスクが置かれています。猫にとっては、人がいない時間に閉じこもれる部屋がいくつもあることになるため、猫を入れたくない部屋とそうでない部屋をあらかじめ決めておくと運用しやすくなります。

2階の4.5帖の洋室2室

2階は1階の東寄りに載る形で、奥行き6,370mmの中に、東側に4.5帖の洋室を2室、吹き抜けとの間にトイレとホールを置いています。階段を上がると、吹き抜けを見下ろしながら洋室へ向かう動線です。2階は延床の約4分の1と小さく、建物の西側は平屋部分の屋根が低く下がっています。

4.5帖の洋室は、ベッドと机を置くと余白の少ない広さですが、日中を過ごす場所は1階のLDKや書斎に任せ、2階は寝る・着替える・一人になるための部屋と位置づけた構成です。吹き抜けを介して1階とつながるため、2階にいても家族の気配や猫の様子が伝わります。

注意点・デメリット

吹き抜けと梁は掃除と安全の計画が必要

吹き抜けの化粧梁の上には、ほこりや猫の毛がたまりやすくなります。高い位置の梁を定期的に掃除する方法を、脚立で届く高さか、2階から手が届くかといった点も含めて確認しておきます。猫が梁から降りられなくなった場合の対応や、2階の手すりの隙間から猫が吹き抜けに出てしまわないかも検討が必要です。

オープンな鉄骨階段は使う人を選ぶ

蹴込み板のない階段は、小さな子どもの足が踏板の間に入りやすく、物を落とすと下へ抜けてしまいます。鉄骨の踏板は足音が響きやすい場合もあります。製作の階段になることが多く、一般的な木製の箱型階段より費用がかかる点も考えておく必要があります。

吹き抜けは温度差とにおいが上へ伝わる

LDKの上を大きな吹き抜けにすると、暖かい空気が2階側にたまりやすく、冬は1階の足元が冷えやすくなります。調理のにおいや音も2階の洋室側に伝わります。断熱・気密性能を確保したうえで、シーリングファンやエアコンの配置を検討することが大切です。猫は床に近い場所でも過ごすため、足元の温度環境にも配慮が必要です。

斜め駐車は停め方に慣れが必要

斜めの駐車スペースは、敷地形状に合わせやすい一方、車の向きが決まってしまい、前向き・後ろ向きの停め方に制約が出る場合があります。車の大きさや、道路の幅と交通量も含めて、実際の出し入れを確認しておくことが重要です。

ほかの方法との比較

キャットウォークを壁沿いに設ける場合

吹き抜けを横断する梁ではなく、壁沿いに棚板を連続させてキャットウォークをつくる方法もあります。壁沿いであれば掃除がしやすく、猫の移動ルートも連続させやすくなります。一方、空間の中央を渡る梁の方が、LDKのどこからでも猫の姿が見え、吹き抜けの意匠としての存在感も強くなります。

猫のトイレを洗濯脱衣室に置く場合

猫のトイレを洗濯脱衣室に置けば、人がトイレを使っている時間と重なりません。ただし、入浴中は扉を閉めることが多く、湿気の多い場所は猫砂やトイレまわりが湿りやすくなります。本計画のようにトイレを広めに取って組み込む方法は、においと掃除をまとめやすい反面、扉の運用に工夫が必要です。

駐車を道路と平行に並べる場合

仮に3台を道路と平行に並べると、駐車の向きは自由になりますが、道路側の間口をほとんど駐車場が占め、アプローチの幅や植栽のスペースが取りにくくなります。斜めに振った本計画の配置は、台形の敷地の余白をアプローチと植栽に分け合う考え方です。

この間取りが合う方

  • 猫と暮らしていて、猫用品を後付けせずに建物で居場所をつくりたい方
  • 30坪前後で、吹き抜けのある開放的なLDKがほしい方
  • 主寝室と水廻りを1階にまとめ、1階中心で暮らしたい方
  • 北道路や変形した敷地で、南の庭を確保したい方
  • 回遊できる水廻りや独立洗面台で、朝の支度を分散させたい方
  • 在宅ワーク用の小さな書斎がほしい方

この間取りが合わない可能性がある方

  • 高い場所の掃除やメンテナンスの手間を減らしたい方
  • 小さな子どもがいて、オープンな階段に不安がある方
  • 冷暖房の効率を最優先したい方
  • 2階の子ども部屋に広さを求める方
  • トイレに猫用品を置くことに抵抗がある方

まとめ

本計画は、北道路に面した70坪の台形の敷地に建てる、延床30.25坪の2階建て3LDKです。建物を東に寄せ、斜めの境界との間にできた余白に斜め駐車2台と1台、レンガ敷きのアプローチを収め、建物の南にはタイルデッキと庭を残しました。

20帖のLDKの上は吹き抜けで、北の壁沿いの鉄骨階段と、吹き抜けに渡した3本の化粧梁が、人の空間の一部であると同時に猫の通り道と居場所になります。猫のトイレは2帖のトイレに2か所の置き場を設け、独立洗面台を中心に水廻りを回れる構成としました。

一方で、梁の掃除や猫の安全な移動経路、オープン階段の安全性、吹き抜けの温度差、トイレの扉の運用といった検討事項もあります。猫のための設備を足すのではなく、階段や梁といった建築の要素に猫との暮らしを重ねた住まいです。

※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方、飼育する猫の数や性格により適切な計画は異なります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次