
家でサウナに入り、水風呂で体を冷やし、外の空気を浴びてととのう。サウナ好きの方なら一度は思い描く暮らしではないでしょうか。
ただ、家庭用サウナは「どこかの部屋の隅に置けばよい」というものではありません。サウナ室から浴室へ、浴室から外気浴の場所へ。この移動が長かったり、途中で家族の生活動線と重なったりすると、せっかくのサウナが使いにくい設備になってしまいます。
今回ご紹介するのは、114坪の北道路の敷地に計画した延床34.5坪の平屋です。コンセプトは「ぬくもりと、ととのい」。洗濯・脱衣室の隣にサウナと浴室をまとめ、そのすぐ横にウッドデッキを配置することで、サウナ→浴室(水風呂代わり)→外気浴という流れを短い距離でつないでいます。
この記事では、サウナまわりの配置の考え方、21帖のLDKとウッドデッキの関係、将来2〜3室に分けられる12.5帖の洋室、そして家庭用サウナを計画するときの注意点まで解説します。
この間取りの前提条件
- 敷地面積:114坪
- 敷地条件:北道路(道路側にセットバック部分あり)
- 階数:平屋
- 間取り:2LDK(将来3LDK)
- 延床面積:34.5坪
- 建物外形:約12.74m×約10.01m
- LDK:21帖(構造梁現し)
- 洋室:12.5帖(2〜3部屋に分けられるスペース)
- 寝室:6帖
- 書斎:2帖
- WIC:4帖/洗濯・脱衣室:4帖
- 水廻り:サウナ、浴室(1616サイズ)、トイレ、独立した洗面カウンター
- 収納:土間収納、下足入れ、パントリー2帖、本棚
- 外部:ウッドデッキ、駐車スペース(図面上は実線2台+点線2台)
2LDKとしていますが、12.5帖の洋室を仕切ることで、子ども部屋を2〜3室つくれる計画です。最初から個室を細かく分けず、家族の状況に合わせて部屋数を増やせるようにしています。
北道路の敷地をどう使うか
北道路の敷地では、道路側に駐車スペースと玄関をまとめ、南側に庭や居場所を確保する配置が基本になります。この計画も同じ考え方で、建物の北側に駐車スペースを並べ、その間を抜けるように玄関アプローチを設けています。
アプローチの途中には宅配ポストを置き、両側に植栽を配置しています。駐車スペースは図面上、実線の車が2台、点線の車が2台描かれており、日常の2台に加えて来客時などにも対応できる広さを確保しています。北側の道路沿いにはセットバック部分があるため、その範囲を避けて車の位置を計画する必要があります。
建物は東西約12.74m、南北約10.01mのほぼ四角い形です。南側の中央をへこませるようにウッドデッキを組み込み、両側を書斎と洗濯・脱衣室の壁で挟んでいます。図面にも「ウッドデッキはコの字で囲み、外部からの視線が入りにくいように」と書き込んでいる通り、敷地が広くても周囲から見えにくい外部空間をつくることを優先した配置です。
道路側の外観は控えめに、植栽を主役に

外観パースは道路側から見た姿です。低く水平に伸びる屋根と、窓の少ない外壁で構成し、建物そのものは抑えた表情にしています。その前に株立ちの樹木を並べることで、外壁が植栽の背景になるような見え方を意図しています。
北側は道路や駐車スペースに面するため、大きな窓を設けても、室内が見えやすくなるわりに日射はあまり期待できません。道路側の開口を絞り、そのぶん南のウッドデッキ側に開く。外観の印象と室内の居心地を、同じ判断で整えている形です。
図面には、玄関ポーチに「傘をさしながら玄関ポーチに入れる」と書き込んでいます。雨の日に、ポーチの手前で傘をすぼめて濡れる、ということが起きにくいよう、アプローチからポーチへの入り方にも幅のゆとりを持たせています。
玄関から土間収納・パントリーへつながる北側の帯
玄関を入ると、西側へ長く伸びる土間収納があります。図面では両側に棚が描かれており、靴だけでなく、アウトドア用品、灯油缶、子どもの外遊び道具など、外で使う物をまとめて置ける奥行きのある収納です。
土間収納の南側には、冷蔵庫を置いた2帖のパントリーが続きます。図面上は土間収納側からもパントリーへ出入りできるように読め、買い物から帰ってきたときに、玄関から土間収納、パントリー、キッチンへと荷物を運ぶ順路をつくっています。家族は玄関ホールの下足入れを使ってそのままLDKへ入れるため、来客時にも土間収納の中を見せずに済みます。
北側に収納を集めたことには、もう一つ意味があります。道路に近く、日当たりの期待できない北側を収納の帯にすることで、居室を道路から一枚離し、LDKや洋室を南と西の明るい側に寄せられるのです。
構造梁を見せた21帖のLDK

LDKは21帖です。内観パースの通り、天井は構造梁を455mm間隔で現しにしています。梁が等間隔で並ぶことで天井に奥行きが生まれ、床の木目と合わせて「ぬくもり」を感じる空間を目指しています。外観を抑えたぶん、内部は木を基調にした表情豊かな仕上げとし、外と内でメリハリをつけています。
キッチンは、西側の壁に沿ってコンロのある壁付けカウンターを置き、その前にシンクを備えたアイランドを並べた2列の構成です。アイランドの先にはダイニングテーブルを直接つなげているため、調理、配膳、片付けが横移動だけで済みます。コンロ側を壁に寄せているので、レンジフードがLDKの中央に浮かばず、リビングからの見え方もすっきりします。
リビングはLDKの東側にソファを置き、東の壁面をテレビの壁にしています。玄関ホールからLDKへはまっすぐ入る構成で、ホールから一度曲がって、さらに廊下を歩いて……というクランクの多い動きをできるだけなくしています。
一方、梁を見せる仕上げは、天井を平らに張る場合と比べてほこりがたまりやすく、照明器具やエアコンの位置も梁の向きに合わせて考える必要があります。照明の配線ルートを梁の間に通すのか、ダクトレールを使うのかなど、仕上げと設備を一緒に決めておくことが大切です。
LDKから連続するウッドデッキ

ウッドデッキは幅5.46m、奥行きは1間ほどです。LDKの南側にそのまま連続しているため、窓を開ければ室内の延長として使えます。デッキにはチェアを2脚描いており、外気浴の場所であると同時に、休日に朝食をとったり、夕方にお茶を飲んだりする場所としても想定しています。
デッキの西側は書斎、東側は洗濯・脱衣室の壁です。両側に壁があることで、隣地からの横方向の視線を遮りやすく、デッキに座ったときに「囲まれている」安心感が生まれます。外気浴はリラックスした格好で過ごす時間なので、敷地の広さに頼って開け放つより、視線を切ることを優先しました。
ただし、両側を壁で挟むと、デッキに朝夕の低い日差しが入りにくくなる場合があります。また、建物に食い込んだ部分は雨水の排水や、デッキ材の傷みにも気を配る必要があります。デッキ材の種類や、屋根・軒の出をどこまでかけるかは、メンテナンスの手間とあわせて検討するポイントです。
サウナ→浴室→外気浴を一か所にまとめる
この住まいの中心となるのが、東側の南寄りにまとめたサウナまわりです。4帖の洗濯・脱衣室を起点に、北側にサウナ室、東側に浴室(1616サイズ)を配置しています。サウナ室には2人分のベンチとストーブを描いており、夫婦で並んで入れる大きさです。
想定している流れは次の通りです。
- 洗濯・脱衣室で服を脱ぎ、サウナ室で体を温める
- 脱衣室を横切って浴室へ移り、浴室を水風呂代わりにして体を冷やす
- 脱衣室の西側に隣接するウッドデッキへ移り、外気浴でととのう
サウナ、浴室、外気浴の場所が、どれも脱衣室を中心に数歩の範囲に収まっています。水風呂専用の設備を設けず浴室で兼ねることで、面積と設備費を抑えながら、サウナの一連の流れを家の中で完結させているのがポイントです。浴槽に水を張るのか、冷水シャワーで済ませるのかは、ご家族の使い方に合わせて選べます。
仮にサウナを北側の玄関近くに置いた場合を考えてみます。南のデッキまでの距離が長くなり、外気浴のたびに濡れた体でLDKを横断することになるため、家族がくつろいでいる横を通る動きが生まれます。南側のデッキに近い位置にまとめたのは、移動を短くするためだけでなく、サウナの時間と家族の生活をできるだけ交差させないためでもあります。
家庭用サウナを計画するときの注意点
家庭用サウナは、配置だけでなく設備や仕上げの検討が欠かせません。一般的に次のような点を設計段階で確認しておく必要があります。
- 電源:電気ストーブ式の場合、200Vの専用回路が必要になることが多く、分電盤や契約容量の確認が必要
- 換気:サウナ室内の給気・排気の経路と、熱気や湿気を脱衣室側に溜めない換気計画
- 内装:高温に耐える木材の選定と、壁の中に湿気を入れない防湿・断熱の納まり
- 防水:浴室から濡れたまま移動する床の仕上げと、脱衣室の床の耐水性
- 安全:扉の開き方、照明やストーブまわりのやけど対策、使用中に家族が気づける位置関係
製品によって必要な電源や設置条件は大きく異なります。サウナの機種を早めに決め、メーカーの施工条件を確認しながら間取りと設備を詰めていくことが大切です。
洗濯・WIC・寝室を東側でつなぐ

東側には、北から順に寝室6帖、トイレと洗面カウンター、WIC4帖、洗濯・脱衣室4帖が並んでいます。WICは北側の通路側と南側の脱衣室側の両方から出入りできる通り抜け型です。
脱衣室には洗濯機と乾燥機を並べて置けるスペースがあり、洗う・乾かすを脱衣室で済ませ、隣のWICへそのまましまえます。寝室もWICの先にあるため、朝の身支度は「寝室→洗面・トイレ→WIC」と東側だけで完結します。洗面カウンターを脱衣室とは別に設けているので、誰かがサウナや入浴を使っている間も、ほかの家族が手洗いや歯みがきをしやすい点も見逃せません。
また、脱衣室はLDK側にも出入口があり、LDK→東側の通路→WIC→脱衣室→LDKと、ぐるりと回れる構成になっています。収納を使う場所の近くに分散させ、行き止まりを減らすことで、家事の移動を短くしています。
注意したいのは、サウナと浴室、脱衣室、WICが隣り合っているため、湿気が集まりやすいことです。WICの扉を閉めて使う、脱衣室に十分な換気扇を設ける、除湿機を置く場所を決めておくなど、衣類を湿気から守る工夫が必要になります。
12.5帖の洋室と2帖の書斎
西側には12.5帖の洋室を配置しています。図面に「2〜3部屋に分けられるスペース」と書き込んでいる通り、西面に窓を3か所並べており、将来仕切ったときにそれぞれの部屋に窓が残るように考えています。お子様が小さいうちは広いプレイルームや家族の寝室として使い、成長に合わせて個室に分ける想定です。
洋室の南側には2帖の書斎があり、南の窓に向かってデスクを置けるようにしています。書斎の入口付近には本棚を設け、LDKからの距離も近いため、在宅ワークだけでなく、家族の誰かが調べものをしたり、読書をしたりする場所としても使えます。書斎はウッドデッキの西側を囲む壁の役目も果たしています。
12.5帖を3室に分ける場合、1室あたりはかなりコンパクトになります。ベッドと机を置けるか、各室の出入口・照明・コンセント・エアコンの位置をどうするかは、建築時に下地や配線を準備しておくと、後の工事がしやすくなります。
注意点・デメリット
寝室が道路側に近い
寝室6帖は北東の角にあり、玄関ポーチや駐車スペースに近い位置です。車の出入りやヘッドライトの光が気になる場合は、窓の位置や大きさ、外構の植栽で調整する必要があります。
サウナは設備費と維持費がかかる
サウナ本体、電気工事、換気設備などの初期費用に加え、使用時の電気代やメンテナンスもかかります。使う頻度を考えたうえで採用を判断することが大切です。
トイレは1か所
図面上、トイレは東側の1か所です。将来洋室を3室に分けて家族が増えた場合、朝の時間帯に混み合う可能性があります。トイレを2か所にするなら、北側の収納帯の一部を充てるといった調整が考えられます。
ウッドデッキは手入れが必要
天然木のデッキは定期的な塗装や、傷んだ部分の交換が必要になる場合があります。外気浴で濡れた体のまま使うことを考えると、滑りにくさや乾きやすさも素材選びのポイントです。
似た条件で考えられるアレンジ案
サウナを浴室内に組み込む
面積を抑えたい場合は、浴室とサウナを一体にする方法もあります。脱衣室の面積を小さくできますが、浴室の防水・換気との兼ね合いや、対応する製品の選定が必要です。
外気浴の場所を浴室の外に設ける
浴室から直接出られる坪庭やテラスを設ければ、LDK側のデッキと外気浴の場所を分けられます。家族がデッキを使っている時間でもサウナを楽しめる一方、外構の目隠しと防犯への配慮が増えます。
サウナを設けずに将来用スペースにする
サウナの採用を迷う場合は、同じ位置を収納や室内干しスペースとして計画し、将来設置できるように電源や換気の準備だけしておく考え方もあります。
この間取りが合う方
- 自宅でサウナと外気浴を楽しみたい方
- 北道路の敷地で、南側に人目を気にせず使える外部空間がほしい方
- 木を感じる内装で、外観は落ち着いた印象にまとめたい方
- 洗濯から収納、身支度までを短い動線で済ませたい方
- 子ども部屋の数を、家族の変化に合わせて決めたい方
- 車を複数台置ける駐車スペースが必要な方
この間取りが合わない可能性がある方
- サウナを使う頻度が少なく、設備費を他に回したい方
- 寝室を道路から離れた静かな位置にしたい方
- 最初から子ども部屋を広い個室として確保したい方
- デッキや梁現しの天井など、手入れが必要な仕上げを避けたい方
まとめ
今回の住まいは、114坪の北道路の敷地に計画した、延床34.5坪の2LDK(将来3LDK)の平屋です。
洗濯・脱衣室を中心にサウナと浴室をまとめ、その隣にコの字で囲んだウッドデッキを配置することで、サウナ→浴室→外気浴の流れを数歩の範囲に収めています。北側には土間収納とパントリーの帯をつくって道路と居室の間に距離をとり、南側には構造梁を見せた21帖のLDKとデッキを開いています。
一方で、サウナには電源・換気・防湿の検討と費用が、水廻りとWICの近さには湿気対策が、デッキには手入れが必要です。こうした条件を理解したうえで、「ぬくもりと、ととのい」を日常にしたい方に向けた住まいです。
※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。
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