【平屋28.25坪・2LDK(将来3LDK)】駐車場の奥の庭を壁で囲い中庭にした平屋|69坪の変形地でつくる奥行きと視線の抜け

69坪の変形地に建つ延床28.25坪・2LDK(将来3LDK)の平屋の配置図兼平面図。南側道路との間に3台分の駐車スペース、建物の南側中央に壁で囲った中庭、北側に洋室7.5帖・キッチン・ランドリー・浴室、中央にLDK18.5帖、東側にWICと小上がりの寝室6帖

敷地が限られていると、建物と駐車スペースを配置した時点で、庭に使える場所はわずかしか残らないことがよくあります。しかも、その庭が駐車スペースや道路のすぐ手前にあると、車や通行人の視線が気になり、せっかくの庭を眺めて過ごすことが難しくなります。

今回ご紹介するのは、69坪・南道路の、やや形の不整形な敷地に計画した延床28.25坪の2LDK(将来3LDK)の平屋です。本来なら駐車スペースの奥に面してしまう庭を、建物と壁で囲うことで「中庭」としてつくり直しています。

この記事では、中庭にした理由と使い方、クランクさせたアプローチの効果、中庭を中心にした部屋の配置、将来の部屋の使い分けまで、図面とパースから読み取れる内容をもとに解説します。小さな中庭ならではの注意点もあわせてお伝えします。

目次

この間取りの前提条件

  • 敷地面積:69坪(南道路・やや変形した敷地)
  • 階数:平屋
  • 間取り:2LDK(将来3LDK)
  • 延床面積:28.25坪
  • 建物の外形:間口約10.01m、奥行き最大約10.92m
  • LDK:18.5帖(勾配天井)
  • 個室:洋室7.5帖(当初は寝室として利用)、寝室6帖(小上がりの畳敷き・当初は客間)
  • 水廻り:ランドリー2.5帖、脱衣室2帖、ユニットバス1616、トイレ、独立洗面台
  • 主な収納:シューズクローク、パントリー3帖、WIC4帖、キッチン北側の収納、カップボード
  • 外部:壁で囲った中庭(タイルデッキ・植栽)、駐車スペース3台分

敷地69坪に対し、延床28.25坪の平屋と3台分の駐車スペースを計画しています。平屋は2階建てより広い建築面積が必要になるため、残りの外部空間をどう使うかが計画の鍵になります。

駐車スペースの奥の庭を、壁で囲って中庭にする

敷地は南側で道路に接し、西側の境界が斜めになった変形地です。建物を敷地の北側に寄せ、道路との間に3台分の駐車スペースを確保すると、LDKの前に残る外部空間は駐車スペースのすぐ奥になります。そのまま庭にすると、車の出入りや道路からの視線がLDKに直接入ってしまいます。

そこで本計画では、建物の南側の中央をへこませ、その南側を壁で閉じて中庭にしています。中庭の北はLDK、西は玄関まわり、東は寝室と通路で囲まれ、駐車スペース側は壁で仕切られた形です。中庭の大きさは幅約3.6m・奥行き約2.7mで、LDKの前にはタイルデッキ、壁際には植栽帯を設けています。

外観パースを見ると、屋根の一部が四角く開いていて、その開口から中庭の木がのぞいています。道路側から見ると、壁の上に中庭の植栽が見え、閉じた外観の中にも緑が感じられる構成です。囲われた中庭は、強い風を受けにくく、室内の延長として落ち着いて使いやすい外部空間になります。

囲われた中庭で特に気をつけたいのが雨水です。建物と壁に囲まれていると、雨水の逃げ場がなくなりやすくなります。本計画では大雨のときにも外部へ水が抜けるよう計画しています。排水口が落ち葉で詰まらないよう、点検しやすい位置に設けることも大切です。

中庭まわりの平面図の拡大。LDK18.5帖の南側にタイル敷きの中庭と植栽帯があり、西側の玄関ポーチから中庭へ抜けられる通路、東側に床高さ+400の小上がりの寝室6帖。玄関まわりにシューズクローク・ホール・トイレ・洗面台、東側にWIC4帖

クランクさせたアプローチで玄関を隠す

道路側から見た外観パース。左に木の縦格子の玄関まわり、右に小さな正方形の窓が一つだけある外壁。屋根の開口から中庭の木がのぞき、クランクしたアプローチ沿いの植栽が玄関の正面を隠している

玄関は建物の南西の角にあり、アプローチは道路から敷地の西側を通って玄関ポーチへ向かいます。パースの書き込みにあるとおり、アプローチは途中でクランクさせ、植栽で玄関の正面を隠す計画です。

道路から玄関までが一直線だと、玄関ドアを開けたときに室内が道路から見通せてしまいます。アプローチを折り曲げると、道路と玄関ドアが正対しなくなり、手前の植栽に目が向くことで、奥の玄関への視線も入りにくくなります。小さな敷地でも歩く距離が少し長くなることで、道路から家に入るまでの間に「奥行き」が感じられるのもクランクの効果です。

道路側の外壁は、窓を小さな正方形の一つに絞っています。道路に面する開口を最小限にして視線を遮り、そのぶん中庭側に大きな窓を集める考え方です。さらに、玄関ポーチからは中庭へそのまま抜けられるようにしており、家の中を通らずに中庭へ出入りできます。植栽の手入れ道具を運び込むときや、来客を外から中庭へ案内したいときにも便利です。

中庭に開く勾配天井のLDK

LDKの内観パース。勾配天井の下、左にキッチンと冷蔵庫、中央にソファ、右に柱をはさんだ大きなガラス戸の先に植栽のある中庭。軒先から下がる鎖樋と、室内からつながるタイルデッキが描かれている

LDKは18.5帖で、建物の中央に位置しています。南面は中庭に向けて大きなガラス戸を設け、天井は勾配天井としています。北側にキッチン、中央にソファ、東寄りに丸いダイニングテーブル(4人掛け)を置き、どこにいても中庭の緑が目に入る配置です。

キッチンはLDKの北側にあり、南を向いて立つ対面型です。シンクとIHコンロをカウンターに並べ、LDK側の腰部分には扉付きの収納を設けています。調理中も、ソファ越しに中庭の植栽やタイルデッキが見える位置関係です。キッチンの背面にはカップボードと冷蔵庫、東側には3帖のパントリーがあり、食品や日用品のストックをまとめて収納できます。

パースでは、中庭の軒先から鎖樋(くさりどい)を下ろしています。雨水が鎖を伝って落ちる様子が室内から見え、雨の日にも中庭を楽しめる工夫です。中庭の床はタイルデッキとして描かれていますが、パースの書き込みではウッドデッキに変えることも可能としています。タイルは耐久性が高く手入れしやすい一方、ウッドデッキは足ざわりがやわらかく、室内の床とのつながりを感じやすいといった違いがあります。

中庭を介して部屋がつながる

中庭の東側には、LDKから南へ伸びる通路があり、その先に6帖の寝室があります。寝室は床を400mm上げた畳敷きの小上がりで、図面では縁に腰掛けて中庭側を向く人が描かれています。400mm前後は椅子の座面に近い高さのため、腰掛けて中庭を眺める場所にもなります。

LDKと寝室は、どちらも中庭に面しています。LDKにいる家族と寝室にいる人が、中庭越しにお互いの気配を感じられる位置関係です。玄関ポーチから中庭へ、中庭からLDKへ、LDKから通路を通って寝室へと、中庭を中心にゆるやかに回るような動きが生まれます。部屋同士を廊下でつなぐのではなく、中庭を「間」に置くことで、小さな平屋でも空間に奥行きが感じられます。

当初と将来で部屋の使い方を変える

平面図の拡大と書き込み。洋室7.5帖に「当初は寝室として利用」、キッチン北側の収納に「書斎、勉強スペースにしても良い」、寝室6帖に「当初は客間として」、トイレ・洗面に「パントリーとの入れ替えも可」と記載。外形寸法は間口10.01m、奥行き10.92m

図面には、部屋の使い方についての書き込みがあります。西側の洋室(7.5帖)は「当初は寝室として利用」、中庭に面した小上がりの寝室(6帖)は「当初は客間として」使う想定です。

洋室7.5帖は、東側の壁に出入口が2か所あり、北側と南側の壁際にそれぞれ収納が描かれています。将来、お子さまの個室が必要になったときに中央で仕切って2室に分けられるつくりで、これが「将来3LDK」の意味です。そのときは、夫婦の寝室を中庭側の6帖へ移すことで、部屋数を増やさずに家族の変化に対応できます。

キッチン北側の収納には「書斎、勉強スペースにしても良い」との書き込みがあります。棚を造り付けた小さな空間は、収納としても、在宅ワークやお子さまの勉強の場所としても使えます。また、玄関近くのトイレ・洗面台はパントリーと位置を入れ替えることも可能とされています。トイレと洗面を玄関側に置けば来客が使いやすく、パントリーを玄関側に置けば買い物帰りに食品をしまいやすくなります。どちらを優先するかは暮らし方次第です。

水廻りと収納の配置

水廻りは建物の北東にまとめ、ランドリー(2.5帖)、脱衣室(2帖)、ユニットバス(1616サイズ)を一列に並べています。ランドリーには洗濯機と棚があり、脱衣室と分けているため、誰かが入浴中でも洗濯や片付けができます。キッチンの背面から近く、家事を並行しやすい位置です。

収納は使う場所ごとに分散しています。玄関横にはシューズクローク、キッチンまわりにはカップボードとパントリー、キッチン北側には棚のある収納、LDKの東側には4帖のWICがあります。28坪台の平屋でも、収納を通路沿いや各部屋の近くに配置することで、LDKに物があふれにくくしています。

注意点・デメリット

小さな中庭は日当たりが限られる

中庭の南側は壁で閉じているため、冬の低い日差しは壁の高さによって遮られることがあります。中庭の幅と奥行きに対して壁を高くしすぎると、中庭もLDKも暗くなりやすくなります。壁の高さ、屋根の開口の大きさ、植栽の種類を、日当たりの確認と合わせて決めることが重要です。

排水と落ち葉の掃除が欠かせない

囲われた中庭では、排水口の詰まりが室内への浸水につながるおそれがあります。落葉樹を植える場合は、秋の落ち葉の掃除が必要です。鎖樋は雨の日の楽しみになる一方、強い雨では水はねが起きやすいため、受け皿や砂利敷きで水を受ける工夫も必要です。

道路側は閉じた印象になる

道路側の窓を最小限にしているため、外から見ると閉じた印象の外観になります。プライバシーの面では有利ですが、道路側の部屋の採光や、外の様子の分かりやすさは減ります。防犯の面では、外から室内が見えにくい反面、中庭や玄関まわりの死角に照明を設けるなどの配慮が必要です。

小上がりの寝室は段差を伴う

400mmの小上がりは、腰掛けやすい一方で、毎日寝室として使う場合には上り下りの段差になります。夜中に起きたときや、将来足腰が弱くなったときのために、足元灯や手すりを設けられるようにしておくと安心です。

ほかの配置との比較

壁ではなくフェンスや植栽で仕切る案

中庭を壁で囲わず、駐車スペースとの間を透け感のあるフェンスや植栽で仕切る案です。日当たりや風通しは良くなり、費用も抑えやすくなりますが、車や道路からの視線は通りやすくなります。視線を遮ることと、明るさを取り込むことのどちらを優先するかで選び方が変わります。

中庭を建物の北側に置く案

中庭を建物の北側に設け、LDKを南の駐車スペース側に向ける案も考えられます。北側の中庭は道路から遠く、より静かな場所になりますが、中庭自体には日が当たりにくくなり、植栽の選び方も限られます。南道路で駐車スペースが南にある本敷地では、南側の中庭を壁で守る今回の方法のほうが、中庭に光を入れやすい計画です。

寝室を小さくして中庭を広げる案

中庭を広くしたい場合は、寝室や通路の幅を削り、中庭の幅を広げる方法があります。中庭の明るさや使い勝手は向上しますが、将来夫婦の寝室とする部屋の広さに余裕がなくなります。延床面積と中庭の広さのバランスを、将来の使い方まで含めて考えることが大切です。

この間取りが合う方

  • 60〜70坪前後の敷地で、平屋と複数台の駐車スペースを両立したい方
  • 駐車スペースや道路からの視線を気にせず庭を楽しみたい方
  • 変形地や小さな敷地でも、奥行きのある住まいにしたい方
  • 当初は夫婦で暮らし、将来子ども部屋を増やしたい方
  • 雨の日も含めて、季節の変化を室内から感じたい方

この間取りが合わない可能性がある方

  • 庭で家庭菜園や子どもの外遊びなど、広い外部空間を使いたい方
  • 中庭の掃除や排水の点検に手間をかけたくない方
  • 道路側にも大きな窓を設けて開放的な外観にしたい方
  • 寝室の段差を避けたい方

まとめ

今回の住まいは、69坪・南道路の変形地に計画した、延床28.25坪の2LDK(将来3LDK)の平屋です。駐車スペースのすぐ奥になってしまう庭を、建物と壁で囲って中庭としてつくり直し、LDKと小上がりの寝室をその中庭に向けて開いています。

アプローチはクランクさせて植栽で玄関の正面を隠し、道路側の窓は最小限に抑えました。玄関ポーチからは中庭へ抜けられ、勾配天井のLDKからは鎖樋のある中庭を眺められます。洋室7.5帖は当初は寝室、将来は2室に分けられる計画とし、家族の変化にも対応できるようにしています。

一方で、小さな中庭の日当たり、排水と落ち葉の管理、閉じた外観、寝室の段差といった注意点もあります。限られた敷地で庭をあきらめるのではなく、「どこから見られるか」を整理して庭の位置と囲い方を決める。小さな土地だからこそ、外部空間の扱い方で暮らしの豊かさが大きく変わることを示した平屋です。

※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次