
周りの景色を、家の中からゆっくり楽しみたい。でも、ひとり暮らしに大きな家は必要ない。
在宅で仕事をする場所がほしい。でも、生活の場所と仕事の場所は気持ちよく切り替えたい。
今回ご紹介するのは、木々に囲まれた242坪の敷地に計画した、ひとり暮らしのための2階建てです。
延床面積は31.5坪(1階26.75坪・2階4.75坪)。寝室、水廻り、収納を1階にまとめ、2階は仕事部屋だけとしました。暮らしの中心には、吹き抜けのある約26.25帖のLDKを配置しています。
この記事では、床を400mm下げたLDKの居場所、寝室と洗面を近づけた朝夜の動線、吹き抜けに面した2階の仕事部屋まで、設計の考え方とあわせて解説します。
この間取りの前提条件
- 家族構成:1人暮らし
- 敷地面積:242坪
- 道路:西道路
- 階数:2階建て(2階は仕事部屋のみ)
- 間取り:2LDK
- 延床面積:31.5坪(1階26.75坪・2階4.75坪)
- LDK:約26.25帖・吹き抜け、一部床を400mm下げた空間
- 寝室:7帖
- 仕事部屋:7.5帖・勾配天井・本棚
- 水廻り:洗面・脱衣室3.75帖、浴室、トイレ
- 主な収納:WIC 5帖、パントリー、カップボード、シューズクローク
ひとり暮らしの住まいでは、部屋数よりも「自分がどこで、どう過ごすか」を優先して面積を配分できます。本計画では、寝室まわりをコンパクトにまとめ、景色を楽しむLDKと仕事部屋に面積を使っています。
間取りの全体像
玄関にはシューズクロークを設け、ホールからLDKへ入る構成です。ホールからはガラス戸越しに、階段の向こうの外の景色へ視線が抜けるように計画しています。
1階の奥側には、7帖の寝室、5帖のWIC、洗面・脱衣室、浴室、トイレをまとめています。寝室のすぐ隣に洗面・脱衣室があり、朝と夜の動きが短い距離で完結します。
玄関の先には約26.25帖のLDKを配置。キッチンからダイニング、リビングを見渡せ、リビングの一角は床を400mm下げた空間としています。LDKの横にはテラスを設け、景色の良い方向へ視線が抜けるよう、窓の位置を決めています。
2階は7.5帖の仕事部屋のみ。勾配天井で壁一面に本棚を設け、吹き抜けを介して1階のLDKとつながっています。
床を400mm下げて、森を見上げる
この住まいでいちばん特徴的なのが、LDKの一角に設けた、床を400mm下げた空間です。
床が下がると、座ったときの目線も低くなります。窓の外の景色は、足元の地面から空の上まで。立っているときとは違う角度で、森の広がりを感じられる場所になります。
さらに、段差はそのまま腰掛けとしても使えます。来客が多いときにも、イスを別に用意しなくて済みます。
床の段差は空間にメリハリをつくる一方で、つまずきやすさや掃除のしやすさ、家具の置き方に影響します。段差の位置と高さは、普段の動線と使い方に合わせて決めることが大切です。
景色を楽しむための配置計画
242坪という広い敷地では、建物をどこに、どの向きで置くかによって、暮らし方が大きく変わります。
どの窓から何が見えるか。道路や隣地からの視線はどこから入るか。日差しや風はどの方向から入るか。設計の際には、敷地のどの方向に良い景色があるかを確かめながら、窓の位置を決めています。
ホールからのガラス戸や、階段越しに外へ抜ける視線もその一つです。家の中を移動するときにも景色が目に入るように計画しています。
寝室と洗面を近づけた、朝と夜の動線
7帖の寝室のすぐ隣に、洗面・脱衣室と浴室を配置しています。
起きてすぐ顔を洗う。お風呂から出て、そのまま休む。寝室の奥には5帖のWICがあり、着替えまで含めて寝室まわりで完結します。
着替え、洗面、入浴を寝室まわりにまとめることで、LDKを景色を楽しむ場所としてすっきり使えるのもポイントです。
ただし、水廻りを寝室側に寄せると、来客がトイレや洗面を使うときにプライベートな場所の近くを通ることがあります。来客の頻度や、どこまで見せてよいかを考えて扉や動線を計画しています。
吹き抜けに面した2階の仕事部屋
2階は7.5帖の仕事部屋だけ。勾配天井とし、壁一面に本棚を設けています。
仕事部屋は吹き抜けに面していて、1階のLDKとゆるやかにつながる配置です。集中したいときは2階で、休憩は1階で景色を眺めながら。同じ家の中で気持ちを切り替えやすい構成です。
一方で、吹き抜けでつながる部屋は音や温度の影響を受けやすくなります。断熱・気密性能、冷暖房の効き方、オンライン会議のときの音の伝わり方まで含めて検討が必要です。
この間取りの暮らしやすいポイント
- 床を下げたLDKの一角から、低い目線で森の景色を楽しめる
- 段差が腰掛けになり、来客時にイスを用意しなくてよい
- 約26.25帖の吹き抜けLDKで、景色と開放感を楽しめる
- 寝室・洗面・浴室・WICが近く、朝と夜の動きがスムーズ
- 2階の仕事部屋で、生活と仕事の場所を切り替えられる
- ホールや階段からも外へ視線が抜ける
- 生活のほとんどが1階で完結する
注意点・デメリット
床の段差はつまずきや将来の暮らしに配慮が必要
段差は居場所をつくる一方で、つまずきや掃除のしにくさにつながる場合があります。照明や素材で段差をわかりやすくするなど、安全面の配慮が必要です。
吹き抜けは空調と音の検討が必要
1階と2階がつながるため、冷暖房の効き方や音の伝わり方に影響します。建物全体の断熱・気密性能と空調計画をあわせて考えます。
景色の良い窓は日射や視線への配慮も必要
大きな窓は景色を取り込める反面、夏の日射や冬の熱損失、外からの視線にも影響します。庇や窓の性能、植栽の配置まで含めて計画します。
広い敷地は外構や維持管理の負担も考える
242坪の敷地では、草木の手入れや外構の管理も暮らしの一部になります。どこまで手を入れ、どこを自然のまま残すかを考えておくことが大切です。
この間取りが合う人
- ひとり、または少人数で暮らす住まいを考えている方
- 周りの景色を家の中から楽しみたい方
- 在宅ワークの場所を生活空間と分けたい方
- 寝室まわりの動線をコンパクトにまとめたい方
- 来客時にも気軽に集まれるLDKがほしい方
この間取りが合わない可能性がある人
- 将来的に家族が増える予定があり、個室数が必要な方
- 床の段差をできるだけなくしたい方
- 吹き抜けによる音や温度の変化が気になる方
- 外構や庭の手入れに時間をかけたくない方
似た条件で考えられる代替案
平屋にまとめる
仕事部屋を1階に設ければ、平屋として計画することもできます。上下移動がなくなる一方、建築面積が増え、吹き抜けによる縦方向の広がりはつくりにくくなります。
段差ではなく小上がりにする
床を下げる代わりに、一部を上げた小上がりにする方法もあります。下部を収納に使えますが、目線が上がるため景色の見え方は変わります。
仕事部屋を独立させる
音や温度の影響を抑えたい場合は、吹き抜けに面さない独立した仕事部屋にする方法もあります。集中しやすくなる一方、LDKとのつながりは弱くなります。
よくある質問
Q1.ひとり暮らしで31.5坪は広すぎませんか?
部屋数を増やすのではなく、LDKや仕事部屋など、長く過ごす場所に面積を使う考え方です。必要な広さは、暮らし方や来客の頻度によって変わります。
Q2.床を下げたリビングは寒くなりませんか?
床の高さだけで快適性が決まるわけではなく、断熱・気密性能や暖房方式によって変わります。床下の断熱や暖房計画をあわせて検討します。
Q3.段差の高さはどのくらいがよいですか?
本計画では400mm下げ、腰掛けとして使える高さにしています。座りやすさ、つまずきにくさ、見え方のバランスで決めることが大切です。
Q4.吹き抜けに面した仕事部屋で、オンライン会議はできますか?
音は伝わりやすくなるため、建具を設ける、吸音性のある仕上げにするなどの工夫が考えられます。仕事の内容に合わせて検討します。
まとめ
今回の住まいは、木々に囲まれた242坪の敷地に計画した、延床31.5坪のひとり暮らしの2階建てです。
吹き抜けのある約26.25帖のLDKを中心に、一角を400mm下げることで、低い目線から森の景色を楽しめる居場所をつくっています。段差は来客時の腰掛けにもなります。
寝室、洗面、浴室、WICは1階にまとめ、朝と夜の動きをスムーズに。2階には吹き抜けに面した仕事部屋を設け、生活と仕事の場所を切り替えられるようにしています。
部屋数ではなく、自分がどこでどう過ごすかを優先して面積を配分する。ひとり暮らしだからこそ実現できる、景色と暮らしを楽しむ住まいです。
※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。
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