【平屋29.62坪・2LDK(将来3LDK)】キッチンを中心に回れる南向きLDKの平屋|来客と家族の動線を分ける約10m角のプラン

延床29.62坪・2LDK(将来3LDK)の約10m角の平屋の配置図兼平面図。北側にWIC・洋室7.5帖・寝室6帖、中央にカップボードとキッチン、南側にタタミコーナーを含むLDK20.25帖とタイルテラス。建物の南に芝生の庭、南側道路沿いに駐車スペース4台分と西側のアプローチ

南道路の敷地は日当たりに恵まれる一方で、「LDKを南に向けたいけれど、ほかの部屋や水廻りをどこに置けばいいのか」「来客が来たときに生活感のある場所を通られたくない」といった悩みが出やすい条件でもあります。

今回ご紹介するのは、100坪・南道路の敷地に計画した、延床29.62坪の2LDK(将来3LDK)の平屋です。建物はおよそ10m×10mのほぼ正方形で、南側の半分をLDKにあて、北側に個室と収納を集めています。キッチンを建物の中心に置き、そのまわりをぐるりと回れる動線としているのが特徴です。

この記事では、南向きLDKのつくり方、来客と家族で動線を分ける考え方、廊下を収納として活かす工夫、そして正方形の平屋で気をつけたい点を解説します。

目次

この間取りの前提条件

  • 敷地面積:100坪(南道路)
  • 階数:平屋
  • 間取り:2LDK(将来3LDK)
  • 延床面積:29.62坪
  • 建物の外形:約10.01m×10.01mのほぼ正方形
  • LDK:20.25帖(タタミコーナー3帖を含む)
  • 個室:洋室7.5帖(将来2室に分けられる計画)、寝室6帖
  • 水廻り:洗濯・脱衣室2.5帖、ユニットバス1620、トイレ、玄関近くの洗面
  • 主な収納:WIC3帖、玄関の土間収納、カップボード、廊下側の収納、キッチン横の収納
  • 外部:タイルテラス、芝生の庭、駐車スペース(図面上は4台分)

30坪弱の平屋に、20帖を超えるLDK、7.5帖と6帖の個室、3帖のWICを納めた構成です。廊下を極力短くし、通路にも収納などの役割を持たせることで、この面積の中にゆとりのあるLDKを確保しています。

敷地と建物配置の考え方

敷地の南側が道路です。図面では、道路沿いに駐車スペースを横に並べ、その奥に芝生の庭、さらに奥に建物を配置しています。建物は敷地の北側に寄せ、南側に広い外部空間を残す計画です。

この配置にすると、LDKと道路の間に「駐車スペース+庭」という距離が生まれます。南道路の敷地で建物を道路に近づけると、LDKの南の窓が道路から見えやすくなりますが、距離をとることで視線がやわらぎ、さらに庭の周囲を植栽で囲うことで、道路側からの見え方を調整しています。

玄関へのアプローチは、駐車スペースとは分けて敷地の西側に設けています。道路から西側の通路を進み、庭の脇を通って建物の南西にある玄関へ向かう動線です。車の出入りと歩く人の動線が重なりにくく、帰宅時に庭を眺めながら玄関へ向かえます。なお、図面には「浄化槽位置要検討」との記載があり、浄化槽を設ける前提の敷地です。浄化槽は点検や汲み取りの車両が近づける位置に置く必要があるため、庭や駐車スペースの計画と合わせて位置を決めます。

LDKは南向きにまとめる

LDKは建物の南側の東西いっぱいに広がり、キッチン、ダイニング、リビング、タタミコーナーのすべてが南の庭の方向を向いています。LDKの南にはタイルテラスを設け、窓から庭へ出やすくしています。建物のまわりには軒先線が描かれており、外周に軒を出す計画です。南面の軒は、夏の高い日差しを遮りつつ、冬の低い日差しは室内まで届けるという点で有効です。

キッチンは建物の中央にあり、南を向いて立つ対面型です。カウンターにはIHコンロとシンクが並び、LDK側の腰の部分には扉付きの収納を設けています。図面ではキッチンに立つ人からダイニングやタタミコーナーへ向かう矢印が描かれていて、調理中もLDK全体を見渡せる位置関係であることがわかります。

リビングのソファは南を向いて置く計画です。ソファに座ると、正面に庭とテラスが見えます。ダイニングは丸いテーブル(4人掛け)を東側に置き、すぐ北にタタミコーナーがあります。家族がそれぞれ別のことをしていても、同じ南向きの空間で外の明るさを共有できる構成です。

リビングの一角に設けたタタミコーナー

LDKの東側、ダイニングの北に3帖のタタミコーナーを設けています。LDKとの間には壁を設けず、角に柱を立てて空間をゆるやかに区切る計画です。

キッチンから見える位置にあるため、小さなお子さまの昼寝や寝かしつけ、遊び場として使いやすい場所です。大人にとっても、ソファとは別に横になれる場所があると、くつろぎ方の選択肢が増えます。洗濯物を畳む、アイロンをかけるといった家事の場所としても使えます。

一方で、壁で仕切らないタタミコーナーは、来客の宿泊用として使う場合にはプライバシーが確保しにくくなります。泊まりの来客が多い場合は、引き戸やロールスクリーンで仕切れるようにしておくと使い道が広がります。

キッチンを中心にした回遊動線

キッチンの背面には、通路をはさんでカップボードがあります。この通路は西側で水廻りに沿った廊下につながり、廊下を南へ進むと玄関に出ます。玄関からは玄関ホールを通ってLDKへ入れるため、「玄関→ホール→LDK→キッチン背面の通路→水廻り沿いの廊下→玄関」と、行き止まりなく一周できる構成です。

回遊できることで、キッチンに立つ人の後ろを家族が通り抜けやすくなり、朝の身支度と食事の準備が重なる時間帯でも動きがぶつかりにくくなります。キッチンの西端には冷蔵庫と小さな収納があり、廊下側からも近いため、買い物から帰って食品をしまう動きも短くなります。

ただし、通路を二方向に設けるということは、その分だけ壁や収納を置けない場所が増えるということでもあります。本計画では、通路の両側に収納を並べることで、通路を「通るだけの面積」にしないようにしています。

来客と家族で動線を分ける

玄関に入ってからの動線は、来客と家族で分けられるようにしています。来客は玄関ホールからそのままLDKへ案内できます。生活感の出やすい水廻りや収納の前を通らずに済むため、急な来客でも慌てにくい構成です。

家族は、玄関の土間収納に靴や外の物をしまい、西側の廊下を北へ進みます。廊下沿いにはトイレ、ユニットバス、洗濯・脱衣室、WICが並び、帰宅後に手を洗う、着替える、汚れた服を洗濯機に入れるといった動作を、LDKに入る前に済ませられます。そのままキッチン背面の通路からLDKへ入れるため、家族の帰宅動線がそのまま家事動線にもなります。玄関の近くには洗面も設けています。

洗濯・脱衣室(2.5帖)は洗濯機と棚を備え、ユニットバス(1620サイズ)と隣り合っています。北西の角にはWIC(3帖)があり、洗濯・脱衣室から数歩の距離です。「洗う・干す・しまう」を建物の西側でまとめられます。

廊下を収納とトップライトで活かす

洋室の南側を東西に通る廊下には、カップボードの裏側を利用した収納を並べています。カップボードと廊下側の収納を背中合わせにすることで、一枚の壁の両面を収納として使う考え方です。日用品のストックや掃除道具、季節物などをしまえます。

正方形に近い平屋では、建物の中央部分に外壁がなく、窓から光を取り込みにくくなります。本計画では、洗濯・脱衣室の前の廊下にトップライトを設けています。外壁に面さない廊下にも上から光を落とし、中央部が暗くなりすぎないようにする工夫です。建物の内側から東西南北へ風が抜けるよう、風の通り道も意識して計画しています。

北側の個室と将来の3LDK

個室は北側に並べています。北西にWIC、中央に洋室(7.5帖)、北東に寝室(6帖)です。寝室は図面上でシングルベッドを2台置く想定で、LDKからタタミコーナーの脇を通って行き来できる位置にあります。

洋室7.5帖は、南側の壁に出入口が2か所あり、左右の壁際にはそれぞれ収納が描かれています。お子さまが小さいうちは広い一室として使い、個室が必要になったら中央に間仕切りを設けて2室に分けることで、3LDKとして使える計画です。北側の窓も左右に分かれて設けられているため、分割後もそれぞれの部屋に窓を確保しやすくなります。

個室を北側に置くと、南の日差しが直接入らない代わりに、明るさが安定し、夏の室温も上がりにくくなります。寝る・着替える・勉強するといった用途が中心の個室であれば、北側でも暮らしやすい場合が多く、その分南側をLDKに集中させられます。

注意点・デメリット

7.5帖を2室に分けると各室はコンパクト

分割後は、収納を除くと1室あたり3帖台の広さになります。ベッドと机を置くと余裕は少ないため、分割前にベッド・机・収納の配置を図面で確認し、照明やコンセント、エアコンの位置も2室分準備しておく必要があります。

中央部の明るさはトップライト頼み

正方形の平屋は外周が短く効率的な反面、中央のキッチンや廊下まわりは外の光から遠くなります。トップライトは採光に有効ですが、夏の日射による暑さ、雨仕舞い、掃除のしやすさにも配慮が必要です。

南の庭は道路から完全には隠れない

建物は道路から離していますが、庭は駐車スペースを介して道路側に開いています。植栽が育つまでの期間や、落葉樹の葉が落ちる冬は、道路から見えやすくなる場合があります。常緑樹を混ぜる、目隠しの高さを部分的に補うなどの調整が考えられます。

広い庭と植栽は手入れが必要

芝生と植栽に囲まれた庭は暮らしに潤いを与えますが、芝刈りや剪定、落ち葉の掃除といった手入れが欠かせません。管理の手間を減らしたい場合は、芝生の範囲を小さくし、砂利や舗装を組み合わせる方法もあります。

ほかの配置との比較とアレンジ案

タタミコーナーを仕切れる個室にする案

タタミコーナーに建具を設けて個室化すれば、来客の宿泊や、将来の寝室としても使えます。洋室を分割しなくても部屋数を増やせる一方、LDKの広がりは小さくなります。

キッチンを壁付けにする案

キッチンを北側の壁に付ける形にすると、背面の通路が不要になり、LDKの面積を増やせます。ただし調理中は壁を向くことになり、LDKやタタミコーナーを見渡せる今回の良さや、回遊動線は失われます。

建物を長方形にして南面を広げる案

東西に長い長方形にすれば、南に面する部屋を増やせます。寝室も南向きにできますが、廊下が長くなりやすく、外周が増えて建築費や屋根の面積にも影響します。正方形はコンパクトで効率的な分、南に面する長さが限られる、というトレードオフです。

この間取りが合う方

  • 南道路の敷地で、LDKを明るい南向きにまとめたい方
  • 30坪前後のコンパクトな平屋を検討している方
  • 来客を生活感のある場所に通したくない方
  • 帰宅後の手洗い・着替え・洗濯をLDKに入る前に済ませたい方
  • 子どもが小さいうちは広い一室を使い、将来分けたい方
  • LDKの一角にタタミのくつろぎスペースがほしい方

この間取りが合わない可能性がある方

  • 寝室にも南の日差しを取り込みたい方
  • 子ども部屋を最初から広い個室で2室確保したい方
  • 庭の手入れに時間をかけたくない方
  • 来客の宿泊用に独立した和室がほしい方

まとめ

今回の住まいは、100坪・南道路の敷地に計画した、延床29.62坪の2LDK(将来3LDK)の平屋です。約10m角の正方形の建物を敷地の北側に寄せ、南側の半分をタタミコーナーを含む20.25帖のLDKにあてて、庭とタイルテラスに向けて開いています。

キッチンを中心に一周できる動線とし、来客は玄関ホールから直接LDKへ、家族は土間収納と水廻り沿いの廊下を通ってLDKへ入れるようにしました。廊下にはカップボードと背中合わせの収納とトップライトを設け、通路にも役割を持たせています。

一方で、分割後の個室の広さ、中央部の採光、庭の見え方や手入れといった点には注意が必要です。南を向く部屋をLDKに集中させ、北側には落ち着いた個室を置く。限られた面積の中で、どこに光を使うかの優先順位をはっきりさせた平屋です。

※本記事は一つの設計例です。敷地条件、法規、構造、周辺環境、家族の暮らし方により適切な計画は異なります。

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